第24章 約束を破った罰として
「…カノ。酷い事ばっかり言って、ごめん。本当は…オマエに会えて、凄く嬉しかったんだ」
「!!」
タケミチに向いていた視線をカノに移す。紡ぎ出された声に少しの罪悪感と後悔の念が混じっていた。
「けど…オレの前から消えた事がどうしても受け入れられなくて…オマエがオレを置いて行っちまった事がショックで…オマエを許すのが怖かった」
「……………」
「怖くて…このままずっとオマエの存在を抱えて、オレ自身が苦しめられて生きて行くくらいなら…この関係を終わらせて少しでも楽になりたかった」
切なげに笑んだマイキーは血の付いた手を伸ばし、カノの頬に触れた。
「ここにオマエが来たら…本気で殺すつもりだったんだ。オマエが何を言おうと聞くつもりなんてなかった。けど…オマエと再会して、オマエの笑う顔を見たら…どうしても殺す事ができなくなった」
「マイキーくん…」
頬に添えられた手の上から自分の手を重ね、段々と冷たくなるマイキーの手をギュッと握る。
「私を…置いていかないで。兄さんを失って、更にマイキーくんまで失った世界で生きるのは…もう嫌なんです」
「オマエを殺そうとしたのに…それでも傍にいたいって思うの?」
「当たり前じゃないですか。私はマイキーくんが傍にいてくれないと寂しいです」
「…こんなオレでも、まだ好きでいてくれるの?」
「私はずっとマイキーくんだけが好きなんです。何度もそう…言ったじゃないですか…っ」
ポロポロと溢れ出す涙を乱暴に拭う。笑んだままのマイキーが頬に添えていた手を離し、涙が流れる目尻を指先で優しく拭った。
「…涙、止めてくれるんですか」
「ウン…カノが泣いてるから。オマエの流す涙を止めるのはいつだって、オレの役目。泣く顔は…見たくないから」
「やっぱり優しいですね、マイキーくん」
「オレは…優しくないよ。」
「いいえ、優しいです。貴方は、昔と変わらず、私が泣いていると慰めてくれる。その優しさにいつも救われるのです」
そう笑いながら答えると、マイキーは眉を下げ、どこか切なげな表情を浮かべた。
.