第24章 約束を破った罰として
「え……?」
ドサッ
何かが地面に倒れる音がした。
「大丈夫ですか!?カノさん!!タケミチ君!!」
「………ナオト?」
タケミチが後ろを振り返ると、そこには拳銃を構えたナオトが立っていて、彼の持つ銃からは硝煙が昇り、既に引き金を引いた後だと分かる。
「マイキーくん…?」
ナオトの声は耳に入らず、カノは青ざめた顔でマイキーの名を呼び、ゆっくりと地面を見下ろす。
「っ……!?マイキーくん!!!」
撃たれたマイキーは頭から血を流し、目を瞑って横たわっている。悲鳴にも似た叫び声を上げ、カノは慌てて駆け寄り、マイキーを抱え起こす。
「カノさん近寄っちゃダメだ!」
「待ったナオト!!」
「!?」
「…安全装置がかかってる」
「え?」
マイキーが手放した銃にはセーフティーが掛かっており、二人は驚いた顔を浮かべた。
「殺す気はなかったのか!?」
ナオトはマイキーを見る。
「マイキーくん!!目を開けて!!」
涙目になりながら必死にマイキーに呼び掛ける。頭に添えていた手にドロッとした感触が伝わり、掌を見ると、真っ赤な血が付着していた。
「嫌ッ!!やだ!!マイキーくん!!」
背筋が凍るような感覚がした。
「…橘ナオトか…」
「!」
「マイキーくん…!」
「…ありがとう、たぶん…タケミっちにはムリだったから」
「マイキー君」
「やっと、終わるんだね。オレの人生は苦しみだけだった」
傍に歩み寄って来たタケミチがその場に座り込み、涙を流しながら言う。
「そんな事言わないでマイキー君。オレ…変えれるから」
「タケミチ君!?」
「オレ、過去に戻れるんだ。やり直せるんだ。こんな現代(みらい)にならないようにカノちゃんと一緒に頑張るから」
「…タケミチくん」
「絶ッ対ェ…絶ッ対ェ諦めないから!!だからそんな悲しい事言わないでっ」
「ふふ、ありがとうタケミっち」
「え?」
「オレを慰めてくれるんだな。嘘でも嬉しいよ」
目尻に涙を溜めながらマイキーは苦しげに呼吸を繰り返しながら、力なく笑った。
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