第24章 約束を破った罰として
「(…この世界は残酷だ。あの日に全てを失った私は…独りぼっちで生きてきた。でも過去でマイキーくんに出会って、息苦しかった世界は少し生きやすくなった。)」
彼と二人で色んな世界を見て
一緒に笑いあって
たまに喧嘩する事もあるけど
ずっと傍にいられて幸せだって思えた
「(マイキーくんが…私を変えてくれた。貴方の存在が私を強くさせた。だからここまで頑張ってこれたの。)」
足場の悪いスクラップの上を歩き、マイキーに歩み寄る。
「(でも…マイキーくんの中に私はもういないなら…これ以上この人の傍にいても邪魔な存在になるだけ。ハッキリ拒絶された時点で、マイキーくんの心はもう私に向かない。じゃあせめて、最後に伝えたい事がある。)」
「カノ、止まれ。」
「ねぇマイキーくん。貴方に会えたらどうしても伝えたい事があったんです」
「それ以上近付くと撃つ」
「貴方と出会って、たくさんの思い出ができました。私が知らない世界をマイキーくんは教えてくれた」
「止まれって言ってんだろ」
「私が助けを求めたら、貴方は私がどこにいても必ず見つけ出して、私が傷付かないように守ってくれた」
「今はもうオマエを助けたいとも守りたいとも思わねぇよ。そこで止まらねぇと本当に撃つぞ」
「マイキーくんの我儘には振り回されてばかりだったけど、何やかんやで貴方の我儘に付き合うのは楽しかったんですよ」
「カノ!!」
何度忠告を促しても一向に歩みを止めないカノにマイキーは苛立ち、声を荒らげる。彼は無意識に片足を一歩、後ろに下げた。
「クリスマスにはプレゼントもくれましたね。プリザーブドフラワー…私、今でも大事に部屋に飾って置いてあるんです。貴方が私の為に一生懸命考えてくれた物だから」
「忘れたよ、オマエにやった物なんて。記憶にもねぇ」
「でも私は覚えてます。マイキーくんが私に与えてくれた『思い出』や『宝物』は全部。こうして胸の中にずっと残ってます」
胸に手を当て、微笑む。
「オレの事なんてどうでもいいんだろ?約束を破っちまうくらい、どうでもよくなったんだろ?」
「私がマイキーくんの事をどうでもいいなんて思うわけないじゃないですか」
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