第24章 約束を破った罰として
「……………」
「もしかして情が湧きました?私を殺したら悲しいみたいな…」
「そういう感情も今では一切ない。オマエが死のうがオレは何も感じねぇ」
「…そこまでハッキリ言われると…心にずしりときますね」
本来ならマイキーがカノに絶対に言わないであろう言葉を聞き、それが心に重くのしかかる。
「一つだけ、答えてください」
ネックレスをギュッと握り締め、震える声でマイキーに言った。
「今でも私の事を、好きだと思ってくれていますか…?」
「……………」
マイキーは目を伏せ、沈黙を貫く。その沈黙の意味が告げている"答え"が分かっているようにカノの目に涙が浮かび、泣きそうになるのを堪え、下唇をキュッと噛む。
そして伏せていた目をカノに戻し、何の感情も無い声と冷たい声で言う。
「昔はオマエが好きだった。あの頃はカノと会えるのが嬉しくて、ずっと一緒にいたくて、オマエが隣にいてくれるだけで幸せだった」
「……………」
「けど今は…オマエを好きだって気持ちはもうねぇ。オマエを愛したいとか、オマエに愛されたいとか、そんな感情は…欲しくねぇんだ。あっても、もういらない」
「ッ……そっ……か……。」
眉を下げ、泣きそうな顔でへらっと笑う。
「(私からの好きは…もう、いらないんだ。)」
面と向かってハッキリ言われると胸がズキズキと痛み出し、マイキーの放った言葉が何度も繰り返され、頭から離れない。
堪えていた涙が、ポロッと頬を伝い、流れた。
「その涙も昔は拭ってやりたいって思った。オマエの泣く顔は見たくなかったから。でも…今オマエが泣いてても、その涙を止めてやりたいとは思わないんだ」
「っ、いい、え…大丈夫、です…。自分で拭えます…っ」
ぐしぐしと乱暴に目元を拭い、涙を止めようとするが、一度流れた涙は簡単には止まらなかった。
「(早く…泣き止まないと。マイキーくんを困らせちゃダメだ。自分で止めないと…この人はもう、私が泣いていても拭ってはくれないのだから。)」
必死に涙を止めようとするカノをマイキーはじっと無表情で見つめている。
.