第24章 約束を破った罰として
フィリピン───マニラ。
「まさかこの歳で迷子になるなんて…」
タケミチとナオトと共にマイキーがいるかも知れないと思われるフィリピンのマニラまで飛行機でやって来た。
タケミチ宛に届いた手紙には写真の他に【1月20日、いつか話したあの場所で】と書かれた紙切れが同封されており、その場所を目指して歩いて来たが、途中で二人とはぐれてしまった。
「(こういう場合だとタケミチくんが真っ先に迷子になりそうなのにまさか私が迷子になるなんて…)」
だがどうにかして廃墟まで辿り着く事ができた。
「(ここにマイキーくんがいる保証なんてない。でももし会えるとしたら初めてだ。初めて現代のマイキーくんに会える。)」
どんな風になってるんだろう?
あの天才的なカリスマ性は健在だろうか?
私を見る優しい目と声は
変わってないだろうか?
「(どんどん話したい事が溢れてくる。)」
口許に笑みを浮かべた途端、ふと足を止める。
「…12年か。きっと変わってるよね。こんな『最悪な未来』なら、マイキーくんも昔のままじゃないはず。…マイキーくん、会いたいって思ってくれてるかな」
急に不安が込み上げ、首から下げてあるネックレスをギュッと握りしめる。
"─────"
「!!」
誰かに呼ばれた気がした。
「……………」
ハッキリとした"声"は分からない。でも直接頭の中に流れ込んできたその声を無視する事はできなかった。
「(…何だろ。気になる。)」
自然と足は声が聞こえた方へと進む。
「(ねぇマイキーくん。もし貴方に会えたら伝えたい事があります。会えなくても…いつかどこかで会う事ができたら…私の想いをどうか聞いてください──。)」
足場の悪い道を歩き辿り着いた場所は天井が壊れ、灰色の空がむき出しになっている。
「ここだ。真一郎さんがバブのエンジンを見つけた場所。確か合ってるはず…」
「カノ?」
むせ込んでしまうような灰色の空を見上げていれば、横から聞こえた声に大きく目を見開く。
ドクンッと心臓が鳴り、胸の前で握った掌が小さく震える。
聞き間違うはずがない、大好きな人の声。カノは短い息を吐き、意を決して、振り向いた。
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