第3章 ふたりを繋ぐ証
「なあナオト。この際、過去のヒナに自分の未来を伝えたらどうかな?ナオトの時みたいに」
「却下です。タケミチ君、楽しようとしてません?」
「いや…そんなつもりは」
「今日生きるか死ぬかの瀬戸際らしいよ」
「は?」
「バイト、クビになったんだって」
「それは…災難でしたね」
「憐れんだ目で見るな!オマエらはいいよ!家賃払えるし仕事続けられるし!オレなんて!…オレなんて…」
「泣かないでよタケミチくん。また探せばいじゃん!ね?」
「…簡単に言ってくれますネ」
ジト目で見られ、苦笑した。
「とにかく反対です。おかしい人だと思われて姉さんに嫌われたらどうするんですか?」
「うっ」
「そんな話信じる訳ないでしょう?」
「私も兄さんに未来を伝える事はしないかな。きっと簡単には信じてもらえないと思うし」
「カノさんの言う通りです。ボクはあの頃たまにオカルト的な事にハマってたから信じただけです。普通は信じません。バカですか」
「(ナオトくんが辛辣だ。)」
案の定、タケミチは膝を抱えてしょぼーん…と落ち込んだ。
「千堂は死んでもう佐野に会う事もできません。姉とカノさんのお兄さんを救う為にはやはり過去に戻って東卍をどうにかするしかない」
「振り出しに戻る…か」
「何か方法はないものかね…」
「……………」
「はあ、ドラケンさえ生きてたらなー」
「え?」
「昔の東卍のナンバー2でさ、マイキー君の一番の理解者って感じで」
「確かに。ドラケンはマイキーのこと何でも理解ってる感じだよね」
「ドラケンさえ生きてれば東卍はこんなヤベー組織になってないと思うんだ。アッくんも言ってた。ドラケンが死んでマイキー君は変わったって」
「…確かに。東卍の巨悪化の原因“稀咲”がナンバー2になる事もない」
「そういえばナオトくん。タケミチくんが事情聴取受けてる間にドラケンのこと何か分かったの?」
「はい。約束通り、龍宮寺堅の死について調べました」
「!」
「当時の新聞の一文を抜粋します」
ナオトはパソコンを操作し、新聞の一文を読み上げる。
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