第3章 ふたりを繋ぐ証
「やほやほ、タケミチくん」
「カノちゃん…」
「おや?なんだか落ち込んでるね?」
その途中で不幸オーラ全開で歩いていたタケミチと偶然会った。話を聞くと、どうやらバイトをクビになったらしい。
「無断欠勤すればそりゃクビだよね〜」
「他人事だと思って…」
じろりとタケミチに睨まれ、苦笑する。
「カノちゃんはいいよな!ナオトが上手く話つけてくれたおかげで給料も減ってないんだろ!」
「まぁ…普通に貰えてるかな」
「くぅ〜!!オレなんて明日からどーやって生きていけばいいんだ…!!」
「そんなに落ち込まなくても…」
「家賃も払えねーってのに!!」
「家賃払えないと野宿だよ。タケミチくん、ホームレスになるつもり?」
「それはやだ…」
泣きながらタケミチはズーン…と落ち込む。
「つーかカノちゃん、ちょっとピリついてる?」
「あー…実はさっき…」
数分前に起こった出来事をタケミチに話す。
「妻子持ちの不倫男に求婚されたぁ!?」
「すれ違っただけでだよ?しかも初対面。」
「前々から思ってたけどさ…カノちゃんって男運ないよな」
「言わないで…」
「でもその不倫男を蹴り上げて一発KOにしちゃうカノちゃんもマジ最強だわ」
「褒められてる気がしない」
「学生ンときもそんなに強かったっけ?」
「多少の護身術は兄さんから習ってたけど…そこまで強くなかったよ」
「カノちゃんが美人で声掛けたくなるのも分かるけどな」
「ホントしつこ過ぎて口まで悪くなるよ」
「(ガチギレしたカノちゃん、マドカさんみたいなキレ方するからなぁ…)」
「無視しても着いてくるしさー」
「(超こえぇ…)」
「?タケミチくん聞いてる?」
「へ!?う、うん!聞いてるよ!」
「今度はどんな男に引っかかるんだろ…」
「オマエも苦労してんだな」
「タケミチくん程じゃないけどね」
「ホントどうしよ、オレ…」
また肩を落とし、落ち込んだ。
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