第23章 変わらなかった世界
ある日、タケミチに呼び出されたカノトが指定された場所に向かって歩いていると…
ドンッ
「痛てぇな!!」
「どこ見て歩いてンだガキ!!」
前から歩いて来たガラの悪い男達が横を通り過ぎようとした時、一人の男と体がぶつかってしまう。
「僕、避けましたよね?」
「あ?」
「それなのにわざと体を寄せてぶつかって来たのはそっちじゃないですか」
「何だと?」
そう…カノトが避けたのにも関わらず、男はわざとぶつかるように体を寄せて来た。
「あーコレ絶対骨折したわ。」
「は?」
「痛てぇな〜こりゃ慰謝料請求しねぇとな!」
「ぶつかって来たのはテメェだしな!」
「(演技が嘘臭いんだよ。)」
ぶつかった所を手で押さえ、ニヤけた顔でわざと痛そうな声を出し、理不尽な理由で慰謝料を請求する男達にイラッとして、眉を顰める。
「慰謝料を請求する程の事でしょうか」
「あぁん!?こっちはお前がぶつかって来たせいで折れたかも知れねぇんだぞ!!」
「金請求すんのは当然だろうが!」
「"かも"なら折れてませんよ。貴方の気のせいなので安心してください。それじゃ急いでるので僕はこれで…」
「オイ待てよ…!!」
これ以上関わりたくなくて早急に立ち去ろうとすれば、後ろから肩をガッと掴まれる。
「……………」
不快そうに顔を歪め、男を睨みつけた。
「何だァその顔は?ぶつかっておいて随分生意気な面するじゃねーか」
「逃がすと思ってんのかよ」
「汚い手で触るな、下衆。」
「あ"ァ!?」
「調子に乗ってンじゃねーぞテメェ…!!」
キレた男が殴り掛かろうと拳を振りかぶる。深い溜息を吐き、男の拳をギリギリで躱してから蹴り飛ばそうとした時だった。
「ねぇ、そこの下衆二人。道を塞いで喧嘩する暇があるなら退いてくれない?」
「!」
「ハッキリ言って邪魔。」
髪色はピンクで長めのショートボブを耳に掛け、金のメッシュがひと房入った青目の少女は無表情のまま、男達に言った。
「何だテメェ?」
「女は引っ込んでろ!こっちは今取り込み中なんだよ!」
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