第23章 変わらなかった世界
"カノのクラスは何やんの?"
「(そう来るよね…。正直に言うか、それとも誤魔化すか…。)」
"メイド&執事喫茶です。"
「(とりあえずマイキーくんが来るんだったらその時間だけ休憩にさせてもらおう。それか誰かと交代か…。)」
"カノはメイド??"
"いえ、執事です。男がメイドな訳ないじゃないですか。"
"なーんだ、つまんねーの。カノがメイド姿でオレにご奉仕してくれんのかと思った。"
"ご奉仕と言っても、喫茶店みたいな感じなので注文を受けて運ぶだけです。"
"お気に入りのメイドさんに触るのOK?"
"うち、お触り厳禁なんで。というかメイドじゃなくて執事です。"
"カノの執事姿かー。絶対カッコイイな!でもメイドじゃなくて良かった。"
"どうしてですか?"
"お前の可愛いメイド姿見た男共が惚れたら嫌じゃん。まぁその時は問答無用で半殺しにするけどな♥"
「(本気っぽいんだけど!?半殺しにされても困るから絶対にバレないようにしないと!!)」
何故か黒い笑みでにっこりと笑うマイキーが想像できる。
"なぁそれよりさ、学校終わったらたい焼き食いに行こ!"
"いいですね!"
"決まりな!終わったら電話して!"
「("了解しました!"……っと。)」
最後に送信して携帯を閉じた。
「(ふふっ楽しみだなぁ。)」
マイキーと会える嬉しさからカノトは学校が終わるのが待ち遠しかった。
✤ ✤ ✤
「(やっと終わった!!)」
チャイムが鳴ったと同時に鞄を持って席を立ち、教室を出た。階段を下りて生徒玄関へと走り、上履きを外靴に履き替え、マイキーに電話をする。
「あ!マイキーくん?今終わったのでこれから───……」
ぐいっ
「!?」
外に出たところで急に腕を掴まれ、慌てて振り返り、そこにいた人物に目を見張った。
「マイキーくん!?」
「しーっ」
マイキーは口元に人差し指を当てた。それを見て口を噤む。"こっち"と手を引かれ、人気のない場所へと連れて行かれた。
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