第22章 吾妻悠生
「……………」
「ユウセーイ!いつまで携帯見てんの〜!?今日はあたしとデートなんだから他の事に気を取られちゃ駄目〜!」
「あー…ごめんネ。」
パチンッと携帯を尻ポケットにしまう。
「ねえ!この遊園地!すごく人気なんだって!悠生何乗りたい?」
「お前の好きなのでいいよ」
学校で知り合った女の子と人気の遊園地に遊びに来ていた悠生は興味がなさそうに言う。私服までカッコイイ悠生に周りの女の子達がチラチラと見ている。
「じゃあお化け屋敷!」
「来て最初にお化け屋敷って…」
「いいじゃん!もしかして悠生怖いのー?」
「はぁ?怖くねーし。そういうお前こそ…」
そこまで言いかけて言葉を止めた。面倒くさそうな悠生の視線が、観覧車の方に向く。
「(あれって…)」
彼の目には電話を掛けても出なかったカノトの姿が映る。その隣に自分より小柄な男も見つけ、悠生は顔をしかめた。
「(俺が電話掛けても出なかったのって、遊園地に遊びに来てたから?つーか二人で出掛けンの駄目じゃなかったのかよ…)」
「ユウセーイ?」
「お化け屋敷は中止して観覧車乗るぞ」
「えー!?何で観覧車!?そんなの最後でいいじゃん!あたしお化け屋敷行きたい!」
「なら一人で行って。俺は観覧車が乗りたい気分なの」
「…悠生がいなきゃ意味ないじゃん。じゃあ観覧車乗ったらお化け屋敷ね!」
デート相手と共に悠生は観覧車に向かい、カノト達の後を付けた。
✤ ✤ ✤
「すごい…人があんなに小さく見える!」
観覧車に乗ったカノトはガラス張りから見える人の小ささに驚いた顔を浮かべる。
「カノ、外ばっか見てないでオレのことも見て」
「わっ!」
後ろからぐいっと腕を引かれ、向かい側に座っているマイキーの膝の上に跨るように乗せられる。
「ち、近ッ…」
「やっと二人きり」
「!」
「ちゅーさせて」
「………はい。」
ちゅっ
「んっ……」
腰に両手を回し、マイキーは唇を重ねた。にゅるっと舌が侵入してきて、驚いて目を見張る。
「んッ!?……は、ぁ……ンンッ……」
ぞくりと気持ちよさで体が身震いした。
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