第22章 吾妻悠生
「あー!!楽しかった!!すげぇ迫力だったな!あのぐるんぐるん二回転するところなんてマジで怖かった〜」
「……………」
興奮冷めやらぬテンションで笑うマイキーに対し、ジェットコースターを乗り終わったカノトは心身共にボロボロだった。
「?どうした?魂が抜けたような顔して」
「…死ぬかと思いました」
「カノすげー叫んでたもんな。男装中なのに女の悲鳴上げてたし。"きゃあああ"って叫んでなかった?」
「それほど怖かったんですよ!!なんですかあの急加速!!凄まじい速さだったんですけど!!あの二回転で流石に心折れました…!!」
「オレはすげぇ楽しかったけどな♪」
「もうジェットコースター乗りたくない…」
「半べそかいてるカノもかわい〜♥」
こちとら怖い思いをしたと言うのに何を笑っているのか、とちょっぴりイラッときて、半べそをかいたまま、マイキーをキッと軽く睨みつける。
「そんな目で睨んでも全然怖くねぇもーん。逆に可愛いだけだし♥」
「(余裕そうな顔が腹立つ…!)」
むっと顔をしかめてマイキーを見る。
「結構叫んだから喉渇いたなー。なんか飲み物買いに行こ」
「はい」
ヨロヨロとよろめく体で飲み物を買いに行く。マイキーはオレンジジュース、カノトはメロンソーダを頼み、ベンチに腰掛けた。
「はぁー…生き返る」
「ちょっとは落ち着いた?」
「なんとか。でもマイキーくん、もう絶叫系は勘弁してください。デートを楽しむ以前に心が疲れ果てて死にます」
「オレはもう一回乗っても良かったけどなー」
「ここで待ってますから乗って来ていいですよ」
「ハァ?何で一人で乗らなきゃなんねーの。お前が一緒じゃなきゃ楽しくねーし。せっかくデートに来てンのに一人で乗るとか寂しいじゃん…」
「それもそうですね」
「だから今度は二人で楽しめるとこにしよ」
「はい」
マイキーはじゅっとオレンジジュースを飲む。カノトもメロンソーダを一口飲み、嬉しそうに言った。
「今までマイキーくんにいろんな場所に連れてってもらいましたけど、改めて好きな人とのデートは楽しいですね!」
「!」
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