第22章 吾妻悠生
「初めまして!吾妻悠生でっす☆両親の転勤でこっちに引っ越して来ました〜ヨロシクお願いしまーす☆」
「(相変わらず自己紹介までチャラい。)」
ニコリと微笑むと更に黄色い悲鳴が響いた。ガタッと席を立った友人は"吾妻…悠生…?"と驚いた声を出し、後ろを振り返る。
「なぁ宮村よ。さっきお前が口にした新人クンの名前を言ってみたまえよ」
「("みたまえよ"…?)」
何キャラか分からず首を傾げたが、友人の質問には答えた。
「だから吾妻悠生くん。その本人だよ。まさかここで再会するなんて」
「吾妻悠生ィィィ!!!何しれっとうちの学校に転校して来とんじゃあ!!しかも同じクラス!!これはライバルと受け取って良しか!?」
「宮村心叶都ー」
「はい」
先生に名指しされ、黒板の方を向く。
「うちのクラスのイケメン君。君と同じですごくモテる厭らしい奴だ。そいつの隣が吾妻の席なー」
「リョーカイです」
「("厭らしい奴"って…先生その紹介はちょっと…)」
カノトは苦笑する。
「カノトこの学校だったんだな」
「僕もびっくりしたよ」
椅子を引き、席に着いた悠生が顔をこちらに向け、にこりと笑う。
「おい吾妻悠生」
「何?」
「めぐたんは裏の顔なんてねーからな。彼女は天使のように優しい人だ。妙な事ほざきやがったらぶっ飛ばすぞ」
「…えーと、誰?」
「誰だとォ〜!?」
「僕の友達」
「宮村…!」
「あとめぐたんさんの彼氏」
「めぐさんの?」
悠生とバチッと目が合った友人は腰に手を当て、何故か"ふふん!"と自慢げに胸を張る。
すると頭のてっぺんから足の爪先まで一通り見下ろした悠生が、くすっと笑う。
「めぐさんも悪い人だなぁ」
「どーゆー意味だコラ!!めぐたんを馬鹿にするんじゃねえ!!」
「だってお友達クン、カモられそうな感じするし。コーコーセーはみんないい人ばかりじゃないんだから気をつけろよ〜」
"利用されないように"
敢えてそこは伏せたが、カノトは悠生が何を思っているのかすぐにその笑みから感じ取った。
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