第22章 吾妻悠生
次の日の朝、教室に入ると友人が両手に乗ったお菓子を差し出してきた。
「おはよう宮村」
「おはよう。どうしたのそのお菓子?」
「今朝コンビニで買った。昨日はマジで助かったよ!アリガトな!おかげで売上が伸びたー!ってめぐたん喜んでたぞ!」
「お役に立てたのなら良かった」
「コレはそのお礼だ。カプリコとポッキー。確かお前甘いの好きだったろ?」
「うん」
「俺の奢りだ!食ってくれ!」
「ありがとう」
「おう!」
二カッと笑う友人からカプリコとポッキーを受け取り、机の上に置いた鞄にしまう。カノトの前の席である友人は後ろ向きで椅子に跨った。
「ところでめぐたんの店に新しい奴入ったって?」
「うん。キッチン担当の吾妻悠生くん」
「"くん"!?まさか男!?」
「高身長の金髪イケメン男子だったよ」
「お前と一緒で容姿勝ち組じゃん!!」
ガーン…!!っとショックを受ける友人はどうやめぐたんの店に新しく入った新人が男だとは知らなかったらしい。
「まさかそいつ…俺の可愛いめぐたん狙いで入ったんじゃねぇだろうな…」
「違うって言ってたよ」
「マジ!?」
「ただ裏の顔がありそうって…」
「ぬぅわぁんだとぉ〜!!?俺のめぐたんに裏の顔なんてあるわけねーだろが!!」
「僕に怒らないでよ」
「めぐたんは天使なんだぞ!!俺の傷付いた心を癒してくれる天使なんだ!!その新人ヤロー許せん…!!」
友人の怒りが火山のように噴火した時、教室のドアが開き、先生が入って来た。
「そろそろ席につけー」
「ほら、先生来たよ」
「今日は転入生を紹介する」
「転入生だって。そろそろ面倒くさくなってきたからさっさと前向いて」
「宮村が俺を邪険にする…ぐすん。」
しょんぼりと落ち込んだ友人はホロリと一粒の涙を流し、前を向いた。
"入っていいぞ"という先生の合図で扉が開かれ、教室に入って来た人物にクラスの女子達がザワつき、黄色い悲鳴を上げる。
「きゃー!カッコイイ〜♥」
「ちょっと!!なにあのイケメン!!」
「背ぇ高ッ!?」
「モデルみたぁ〜い♥」
「(あれ…?)」
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