第21章 隠さない独占欲
「んぅ!?んんっ!!」
突然のキスに驚いて目を見開き、慌ててマイキーの下から逃げようとすれば、逃がさないと云うように両手首を掴まれ、胸の前で一纏めにされる。
「はッ……ぁ……んん……っ……」
息が苦しくなり、ぷはっと顔を横に背けると、ようやくマイキーのキスから解放される。
「もっ…いきなり何するんですか…ッ」
「…カノの浮気者。」
「してませんよ…」
「彼氏が見てる前で堂々とイチャついてたじゃん」
「あれのどこがイチャついてました?」
むしろ揶揄われただけなんですが。
「あの二人とはいつ会ってたの?」
「えー…コンビニでスイーツを買った帰りに彼らに…主に一くんに目を付けられまして…そこから色々とあって…」
「ふーん…"一くん"…ねぇ…」
「…言っておきますけど決して仲良しではないですよ。向こうが勝手に友達認定してるだけで…」
「友達じゃねぇのに九井を下の名前で呼ぶんだな?」
「別にタケミチくんや千冬くんも下の名前で呼んでますけど…」
「オレの名前は滅多に呼んでくれねェのに。てか一回しか呼んでもらった事ない!」
頬を膨らませて拗ねるマイキー。
「ずっとマイキーくん呼びなので途中から変えるのはちょっと…」
「呼んで」
「え?」
「オレの名前、呼んで。」
「…万次郎くん」
「もっかい」
「万次郎くん」
すると満足したのか、ふにゃりと不貞腐れていた顔が緩み、嬉しそうに笑う。
「なぁに?カノ。」
「!」
その可愛い笑みと優しい声にドキッとした。ニコニコと笑うマイキーだったが、またすぐに表情が戻り、今度は悔しげに歪められる。
「あんま黒龍と仲良くすんの禁止。特に九井とは近付いちゃダメ」
「これから同じ隊にいるのに近付くなと言う方が無理だと思うんですけど…」
「だってまたあいつがオマエに触れたらどーすンの?さっきもこうやってほっぺた触られて…あー、くそ…思い出すだけでムカつく。勝手に触ってんじゃねーっつの。」
「ん………」
手の甲でするりと頬を撫でられ、そのくすぐったさに小さく声が洩れる。
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