第21章 隠さない独占欲
「誰が前に出ていいっつったよ?」
荒い呼吸を繰り返す稀咲は石段を駆け上がりマイキーに近付こうとした。それを見かねたドラケンが稀咲の前に立ち、阻止しようとすると、拳を構えた半間がドラケンに向けて振りかぶった。
ガッ
「稀咲の話を聞けやコラ」
「テメェ!!」
腕でガードし、ドラケンは半間の拳を受け止めた。そして稀咲はマイキーをもう一度、説得する。
「こんなカス共に耳を傾けるなマイキー。"不良の時代"を創るんだろ!?」
そんな稀咲を見て、カノトは思った。
「タケミチくん…稀咲、本気で焦ってる」
「!」
「これから東卍はでかくなる。誰もがひれ伏す組織になるんだ。でかくなれば必ず闇は生まれる。オレはその闇を全て引き受けてやる。アンタを輝かせる為に!!アンタには俺が必要なんだよマイキー」
稀咲は手を差し伸べる。
「オレはアンタの落とした影だ。お互いが必要なんだ。だから考え直せ、マイキー!!綺麗事だけじゃ夢は叶わねぇんだよ!!」
「(稀咲は計算があって言ってるワケじゃない。彼もこうなる事態は予想してなかったみたいだ。本気で焦って、マイキーくんを説得してる。でも…何を言っても変わらない。だってマイキーくんは一度、クビだって言ったんだから。)」
「お別れだ稀咲。その決めつけが夢を狂わせる」
マイキーは稀咲の説得に耳を貸す事なく、キッパリと別れを告げた。
「マ…マ…マイキィィィィ!!!!」
完全に見放された稀咲は叫びを上げ、膝から崩れ落ちた。
「これで集会は終わりだ!!」
「(稀咲が追放された。これで半間も出て行く。なんだか呆気なかったけど…これでミッション成功なの?)」
カノトはタケミチと視線を交わす。彼の表情から同じ事を考えていたのだと知り、二人して複雑そうな顔を浮かべた。
こうして新年一発目の集会はドラケンの合図で終了した────。
✤ ✤ ✤
「マイキーくん!ちょっと待って…!」
その後、佐野家に連れて来られたカノトはマイキーに手首を掴まれたまま、無言で部屋へと連行される。
「……………」
部屋に引っ張って来られると、そのまま戸惑うカノトをベッドに押し倒し、強引に唇を重ねた。
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