第21章 隠さない独占欲
「本当にお疲れ様、タケミチくん、千冬くん。二人と駆け付けた三ツ谷くんのおかげで八戒くんは自分の弱さから逃げるのをやめて、大寿に立ち向かう事ができたんだ」
「オレは何もしてねぇよ。八戒を変えたのはタケミっちだ」
「タケミチくんはみんなのヒーローだね」
「!」
「すぐ泣くけどな」
「何だとぉ!?」
可笑しそうに笑う千冬の言葉にタケミチは気恥しそうに怒る。そんな二人を見てカノトは羨ましげに見つめていた。
「さて!二人目は!!乾!!前へ!!」
「!」
「(え!?青宗くんと一くん!?)」
「"十一代目"黒龍、乾青宗だ」
「同じく九井一だ」
突然現れた黒龍の二人に東卍のメンバー達も驚きを隠せないようだ。
「十代目黒龍は東卍に負けた。総長である柴大寿は引退。オレらは十一代目として黒龍を継いだ」
「そしてマイキーと話し合った結果、東卍の傘下に降る事にした!」
「え!?」
「黒龍は壱番隊──つまり花垣タケミチの下につく!!」
「えぇぇぇ───!!!?」
マイキーがハッキリ告げた事にタケミチが声に出して驚いた。カノトも目を見開き、イヌピーとココを見ている。
「いいな!?タケミっち」
「あ…あぁ」
「……ちっ」
「(まさかの展開…)」
「黒龍がオレの下につく…?なんで…それは一体誰の判断なんすか!?」
「『東卍に降るならオマエの下につきたい…』それが黒龍(こいつら)の意志だ」
「………、100%裏があンな…」
「(どうしよう…スイーツ持ってない。)」
ココには殺されたくなきゃ次も会う時は限定スイーツを用意しろと言われた。あの日以来、全く会わないので最近スイーツも買ってないのだ。それがどういう運命の悪戯か、今目の前にいるではないか。"殺す"と堂々と宣言した相手が。
「よろしくな!隊長!」
「………。いきなり信じろとは言わねぇ。力が必要な時は言え。手を貸す」
そしてココの視線がスッとカノトに向けられ、そのニヤけた笑みにびくりと肩を揺らした。
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