第21章 隠さない独占欲
「よぉカノト。相変わらず腹立つほどイケメンだなぁ?」
「う…ど、どうも…」
「今日は何の限定スイーツくれんの?」
「え?あ、いや…用意してなくて…」
「は?ねぇの?」
「すみません…」
「なら…やる事は一つだな」
「(ここここ殺される…ッ!!!)」
伸びてきたココの手にギュッと目を瞑る。これから何をされるのだろうか。やっぱり殺されるのだろうか。それとも…と襲い来る恐怖にぐっと堪えていると…。
"ムギュっ"
「ふふぇぇ…?」
頬に微かな痛みが襲い、驚いて目を開ける。悪戯顔でニヤリと笑ったままのココに頬を摘まれていた。
予想外の事に変な声が漏れてしまい、それを聞いたココが可笑しそうに笑う。
「くっ…はは!"ふふぇぇ"だって!聞いたかよイヌピー!こいつマジで面白ぇ!」
「な…なにふんれすは!」
「何言ってっか分かんねーよ。しっかし…こうして摘んで変な顔にしても、イケメンは変わらねーとかマジ腹立つから引っ張っていいか?」
「!?」
引っ張られたら確実に伸びる…!!
「…ココ。その辺にしとけ」
「あ?なんで…」
ぞわっ
突如、全身を鋭いナイフで刺されたかのような殺気を感じ取り、驚いたココは振り返って、石段にいるマイキーを見る。
「九井…勝手にそいつに触れていいなんて許可、出した覚えはねぇぞ。」
「……………」
ハイライトを無くした目には深い嫉妬心が宿っている。冷たく低い声で牽制されたココは無言でカノトの頬から手を離した。
「(マイキーくんの目が怖い…)」
頬を擦りながらマイキーを見る。
「…ちょっといじめただけでコレかよ。独占欲強すぎて引くわ」
ココは嘲笑うように鼻で笑い飛ばす。
「そいつはマイキーのお気に入りだって知ってるだろ。構いすぎてマイキーに殺されても知らねぇぞ」
表情を変えないイヌピーが横目でココの行いを窘める。ココは数秒の間の後、マイキーからカノトに顔を戻し、べっと舌を出して笑った。
「これからよろしくなぁ、カノト♪」
「…よろしく、お願いします」
"よろしくしたくないけど"と正直思ったが、また苛められると怖いので黙っておく。
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