第2章 無敵のマイキー
「見つかるんですか?」
「早いとこ探して汚部屋を出よう」
「汚部屋で悪ぅございましたね!」
千堂敦の連作先が書かれたメモ帳をみんなで探す。その数分後…。
「あ!!あった─これだ──!!!」
ゲーム機と一緒の箱に例のメモ帳があった。
「うおっ懐かしー。あの頃の記憶が蘇ってくるよねー!!」
「早くしてもらってイイっスか?」
「あ…ああ、アッくんね。わかってるよ。番号変わってないといいけど」
メモ帳に書かれた番号に掛ける。
《プルルルル》
「あっ、繋がった」
数回のコールの後、千堂敦と連絡を取り合ったタケミチは指定された場所へと向かった。
「呼び出されたのはここですか?」
「うん!アッくんの経営してるキャバクラだって」
「キャバクラ…」
「…大丈夫ですか?そんな所にのこのこ行って。今の千堂は東卍の幹部なんですよ?」
「バカだなーナオトは。友情ってのはそう簡単に変わんねーんだよ!」
久々に仲間に会える楽しみからか、タケミチの足取りは軽かった。
✤ ✤ ✤ ✤
「いらっしゃいませ!!ご指名は!?」
「え…あっあのー」
「大丈夫ですか?」
「めっちゃ緊張してるじゃん」
念の為、束ねた髪を短めのウィッグで隠し、服装も男物に着替えてきた。今のカノは男装していた時の“カノト”だった。
「せ…千堂さんと待ち合わせしてるんですが…」
「君が?ウチの社長と?」
ボーイは怪しげにタケミチを凝視する。
「オイ!なんかみずぼらしーのが来てっけど社長ってアポある?」
確認を取りにボーイはどこかへ行ったが、すぐに戻ってきた。
「なんだもー、言ってくださいよ花垣さーん。社長の親友ならすぐにでもお通ししたのに!」
両手を擦り合わせながら先程とは打って変わった態度のボーイの後に続く。
「VIP3名様ご案内ー!!」
「絶対バカにしてるよな?」
「そんな事ナイデスヨ」
「さっきはあんなに怪しんでたのにね」
VIPルームに通され、千堂敦が来るのを待つ。グラスを持つタケミチの手が震えていた。
「手ぇ震えてますよ?」
「ビビってねーし!」
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