第2章 無敵のマイキー
「千堂と連絡は取れますか?」
「あ…うん、家に帰れば多分…」
「幹部になった“今の千堂敦”ならマイキーに繋がれますよ!!」
「!」
「行きましょう!!」
「う…うん!」
✤ ✤ ✤
「汚ぇよ、覚悟しといて」
「なんとなく想像は…」
「はい、ナオトくん」
「マスク?」
「一応ね」
“一応”の意味が理解できず、ナオトは不思議そうな顔をしていたが、その意味をすぐに理解することになる。
「うわっ汚っ!!人の住む所ですか!?」
「だから覚悟しろって言ったやん」
「マスクがあるおかげで多少の臭いは我慢できますが…準備いいですね、カノさん」
「いつもは玄関までしか入らないんだけど改めると想像を絶する汚部屋だよね」
「汚部屋でも住めるんデスヨ…」
「そりゃタケミチくんはもうこの家の惨状やら臭いに慣れちゃってるからね。私なら絶対に暮らせない」
「二人は良く家を行き来する仲なんですか?」
「お互いの生存確認の為にね。タケミチくんは私に電話を入れて、私はタケミチくんの家を訪ねてるの」
「生存確認…?」
「あ、カノちゃん。その辺、空のペットボトルとかあるから足元気をつけろよ」
「気をつける前に片付けようよ…」
「でも意外です」
「何が?」
「タケミチ君とカノさんって、絶対に接点がなさそうな二人じゃないですか」
「ヒナもそんなこと言ってた」
「タケミチ君は不良でカノさんは優等生。そんな二人が大人になっても付き合いが続いてるなんて驚きです」
「学生の頃は良く言われたよ。“宮村君みたいな人がどうして不良と友達なの?”って」
「オマエはなんて答えたの?」
「“僕が友達になりたいと思ったからなったんだよ”って答えたよ。“それをどうこう言われる筋合いはない”とも答えておいた」
「……………」
「カノちゃんカッケーだろ?」
「ええ…カノさんらしいです。そこが貴女の人柄なんだと思います」
「や、やだなー二人とも!そんなに褒められると照れるじゃない!ほら!早く探そう!」
「ちょっと待って。昔使ってたメモ帳探すから」
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