第20章 望んだ未来の"もしも"の話
「(どこで嫉妬してるのもう…)」
「カノはさ、自分で思うよりもすげーモテんの。男の格好でも女の姿でも。元から顔立ちとか整ってるし、美人だからそこら辺にいる奴らの目を一瞬で奪っちゃうし、声掛けない方がおかしいんだよ」
「そうなんでしょうか」
「だからオレは気が気じゃねーの。いつかオマエが誰かに奪われちまうんじゃないかって、すげー心配なの。オマエがオレを好きなのは知ってるけど…嫉妬しちゃうんだよ」
切なげに笑い、カノトの頭をくしゃくしゃと優しく撫でる。
「オレ、重い?」
「……………」
マイキーの今までの発言や行動からして少し危うい空気は感じていた。それが現代のマイキーに繋がっているかは分からない。だが今目の前にいる彼は…15歳のマイキーだ。
大好きな人達に囲まれて、大事な人の隣で生きている。この世界はまだ壊れない。マイキーの"闇堕ち"の原因に自分も含まれているのなら…選択肢を間違えるとバッドエンド√に突入して、そこから引き返すのが難しくなってしまう。
だからこそ、マイキーの言葉の一つ一つに耳を傾け、その言葉の意味を理解し、正解を導き出さなければいけない。
マイキーが間違った道に行かないように…繋がれた手は放してはいけない。
「重くなんかないですよ」
「引いてない?」
「引いてません」
「逃げたくなった?」
「まさか」
「オレのこと…好き?」
「もちろんです」
「嫉妬するオレでも?」
「私だってマイキーくんが女の子達にモテてたら嫉妬しますよ」
「嫉妬するカノ見てみたい」
マイキーは切なさの中に楽しげな表情を滲ませ、静かな声で笑った。
「オレ、かっこいい?」
「すごく」
「惚れ直しちゃう?」
「何度も」
「ちゅーしたくなる?」
「したくな………、マイキーくん。」
「あー、もうちょっとだったのに」
"残念"───誘導に失敗したマイキーがペロッと舌を出して、悪戯っぽく笑う。
「(危うく引っかかりそうになった…)」
「まぁ、オマエに手出す奴がいたらオレが潰しちゃうけどなー♪」
ニコニコと笑い、マイキーが歩き始めたのを見て、カノトも後を追った。
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