第20章 望んだ未来の"もしも"の話
神社に着くと階段を登った鳥居の前で袴姿のドラケンと着物を着たエマが待っていて、ずっと繋いでいた手を離そうとした。
「マイキーくん、神社に着いたので手を離してください」
「もうちょっと」
「神社までの約束だったでしょう」
「放すのもったいねぇ」
「(こうなる事は予想してたけど…)」
道行く人達がチラチラと手を繋ぐ二人を見ながら階段を登って行く。それに堪えられず、カノトが繋がれた手をやんわりと外そうとした。
「ほら、みんな不思議そうに見てますから。いつまでも男同士で手を繋いでちゃダメですよ。手を離してください」
「だって放したらしばらくまた繋げねーじゃん…」
「手なんていつでも繋げますよ」
「いつ?」
「え?」
「いつ繋いでくれんの?」
「あー…うーん…そうですねぇ…」
そう質問されるのも困るのだが。マイキーはどうやら手すら放すのも嫌らしい。約束とは一体…とも思ったが、カノトはその質問に答えないとマイキーが手を離してくれないと思い、考える。
「じゃあ帰り、初詣が終わった帰りにまた繋ぎましょう。それならいいですか?」
「!」
パァッとマイキーの嬉しそうな空気が溢れ出す。それを感じ取ったカノトはホッと安堵の表情を見せる。
「絶対な!手繋いで一緒に帰ろ!」
「あ、あんまり大きな声で言わないでください」
約束したからか、さっきまで名残惜しそうに繋がれていた手が呆気なく放れる。そして二人は階段を登り始めた。
「ドラケンくん!エマちゃん!」
「やっと来た!遅い二人とも!」
「ご、ごめんね…」
「何かあったのか?」
「まぁ…来る途中に色々と。その原因は主にマイキーくんの我儘なんですが」
「何だよ、またカノを困らせたのか?マイキー。」
「困らせてねーし。てかオレだけが悪いみたいに言ってっけど、カノにも原因あるからな」
「は?どこがですか。」
「オレとのちゅー……」
「わああ!!何を言い出すんです!?」
「…拒まなきゃこんなに時間掛からなかったっての」
ボソッと呟いたマイキーがふいっと顔を横に逸らした。
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