第20章 望んだ未来の"もしも"の話
「オレと手を繋ぐのがそんなに嫌なの?」
「別にマイキーくんと手を繋ぐのが嫌だって言ってる訳じゃないです。男同士で手を繋いでマイキーくんまで変な目で見られたらどうするんですか」
「だからオレは気にしないって言ってんじゃん。それに変な目で見られても関係ねーし。オレがオマエと手を繋ぎたいから繋ぐ。それでいいだろ…」
「(あぁ…だんだん不貞腐れてく。)」
「なぁ、繋いで。」
今度は強めに"ん!"と手を差し出される。
「(これ以上は本当にマイキーくんがいじけて、後々面倒な事になりそう…)」
「どうしても繋ぐの嫌だって言うなら…ここでちゅーする。」
「!?」
「壁際に追い詰めて、逃げ道塞いで、ここ通る奴らに見せつけるように深いのしてやる。それでカノまで変な目で見られても知んねー」
「またそういう意地悪を…」
カノトは呆れたような顔をする。
「手、繋いだら機嫌直してくれますか」
「繋いでくれたらな。あ!普通に繋ぐのじゃダメだからな?ちゃんと恋人繋ぎな!」
"ハイハイ"と言い、差し出されたままの手を重ね、指先を絡めて、恋人繋ぎをする。
「これでいいですか」
「さっすがカノ♪どんだけオレが我儘言っても、結局最後はオレを甘やかしてくれるんだよな〜。そういうコトすげー好き!」
「(一瞬で機嫌が直ったな…)」
ご満足頂けたようで、先程の不機嫌さとは打って変わり、上機嫌でニコニコと笑っている。絡められた指先がぎゅっと握られ、口では嫌々拒否していたカノトも内心で喜んでいた。
「(まぁ…私もマイキーくんと手を繋ぐのは嫌いじゃない。)」
「でも、ちゅーできなくて残念だったな。本当はオレにちゅーされたかったのにな?」
「は、はぁ?そんなこと思ってません!」
「あぁ〜動揺してる〜♥ホント分かりやすいなーカノは♪」
「動揺なんかしてません!」
「ちゅーする?」
「しません!!」
「今誰も通ってないし、ちゅーしよ♥」
「しないって言ってるじゃないですか…!」
「そんなに拒否ンなくてもいーじゃん…」
マイキーは眉を下げ、悲しそうな顔で不貞腐れる。
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