第20章 望んだ未来の"もしも"の話
2005年────12月31日。
「この前はああ言ったけど…やっぱり着物着たカノも見たかった」
「まだ諦めてなかったんですか」
「諦められる訳ねェだろ!!彼女の着物姿だぞ!?しかもカノの!!そんなの絶対見たいに決まってンじゃん!!」
初詣当日、ドラケンとエマと待ち合わせしている神社まで歩いていた時、よほどカノトの着物姿が見れなかったのが悔しかったのか、肩を並べて歩くその横でマイキーが残念そうに嘆いた。
「そこは僕で妥協くれるって言ったじゃないですか」
「別に男装のオマエもかっこいいよ?オレから見てもすげーイケメンだし。モテる事くらい最初から知ってるし。でも!!オレは可愛くお洒落したカノの着物姿が見てぇの!!」
「今更何を言っても無駄ですよ。もう袴着てるし、家から随分歩きましたから戻って着替えてる時間はありません」
「知ってるけどさぁ〜…せっかくなら、ひと目でいいから見てみたかったんだよ。オレの恋人がそういう格好してンの。」
「(現代ではワンピースとか着てるけど、こっちにいる間は男装してるから、どうしても男っぽい服装になっちゃうんだよな。)」
眉を顰め、不貞腐れたように顔をしかめるマイキーにどうしたものかと頭を悩ませる。するといじけているマイキーの視線が、ふとカノトの手に向けられた。
「カノ」
「はい?」
「手繋ぎたい」
「人が通るのでダメです」
「ハァ!?即否定とか酷くねェ!?しかも今のガチのトーンじゃん!!拒否すんなよ…!!」
間髪入れずにカノトに拒否られ、マイキーは納得がいかず、ぶーぶー文句を言ってキレた。それでもカノトは首を横に振る。
「男二人が手なんか繋いで歩いてたら変な目で見られます。通る人みんな驚きますよ」
「男同士でだって手繋いで歩いてる奴いるかもしれねェじゃん。それにあんま人通ってないし、変な目で見る奴なんかいねェって。な、だから繋ご?」
"ん。"と手を差し出される。困ったようにじっと見下ろしていると、繋いでくれない事が不満だったのか、むっと顔をしかめた。
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