第19章 最高のお返し(♥)
「マイキーくんみたいですね」
「…オレは、強くないよ」
ボソッと小さく吐き出された。
「オマエの方がよっぽど強い」
「私だって…強くないですよ」
「そんなことねェって。初めてオマエと出会ったあの日、喧嘩賭博でキヨマサがタケミっちを殺ろうと武器を要求した時、あの中でオマエだけがタケミっちの為に声を荒らげて怒ってた」
「……………」
「下手すりゃオマエも一緒に殴られてたかもしんねーのにさ。本当は怖い癖にダチの為に命まで掛ける奴はそういねぇよ。だからオマエは強い。心が…オレよりもずっと強い。」
「マイキーくん…」
「本当に大切な事は喧嘩に勝つ事じゃねぇ。自分に負けない事だ。カノはそれを理解してる。だからオレが誤った道に進んでもその強さでオレを引き留めてこうしてずっと手を繋いでてくれ」
ギュッと握られた手に力が込められる。
「……はい、もちろんです。」
カノトも握り返し、二人は微笑み合う。
「本当はさ…」
そこでマイキーがポツリと話し出す。
「クリスマスプレゼント、別のをあげるつもりだったんだ」
「え?そうなんですか?」
「うん。でも結局見つからなくて…慌ててエマに教えて貰って代わりを用意した」
「何をプレゼントしてくれるつもりだったんですか?」
「桜貝」
「!桜貝って…この前ふたりで海に行った時に探してたピンクの桜貝ですか?」
「そ。オマエ、もういいって言う割に残念そうな顔してたから、絶対にオレが見つけて内緒でプレゼントしたかったんだ」
「まさか…あれからずっと探してくれてたんですか!?見つかるかも分からないのに」
「だってオマエには幸せになってほしいから」
「!」
「オレはオマエが幸せになんねぇ世界があるなら、何としても変えてやりたい。例えその代償としてオレの何かが失われても。オレはずっとオマエの幸せを願っていたいんだ」
「マイキーくん…」
自分の幸せより大切な人の幸せを最優先するマイキーの優しさに涙が出そうになった。
「(どうしてこの人は自分の幸せも一緒に願わないんだろう。いつも私が幸せになる事ばかり考えてるんだろう。私は貴方にも幸せになってほしいのに。)」
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