第19章 最高のお返し(♥)
「ふ〜ん…さっきはあんなに甘い声出してオレが触る度に体ビクつかせて、オレのモノであんあん喘いでたのに…そんな冷てぇこと言うんだ」
「わざと厭らしい言い方しないでください!」
「カノはオレとえっちすンの、本当は嫌なんだな」
すると今度はマイキーが拗ね、頬を膨らませる。その子供っぽい性格に溜息を吐きたくなったが、そこはグッと堪えた。
「本当に嫌だったらマイキーくんを引っ叩いて逃げます」
「え、ビンタすんの?」
「無理やりは良くないので」
「もしそうなったとしてもどこまでも追いかけて捕まえて、逃げ道塞いで一生外には出さねぇけどな♥」
「………………」
なかなかのヤンデレ発言だ。カノトの脳裏から【逃げる】という選択肢は呆気なく消えた。
「マイキーくん」
「ん?」
「手…繋いでもいいですか」
「何で許可とんの?良いに決まってんじゃん。オマエと繋ぐの拒否ったりしねぇから、聞かずに黙って繋げばいいのに」
可笑しそうにマイキーは笑うと、カノトの手を握り、指先を絡めた。
「そういえば…マイキーくんのご両親は?」
「いねぇよ。じいちゃんとエマと三人暮らし。ちなみにエマだけ母ちゃん違って、昔は別々に暮らしてたんだけどさ、あいつの母ちゃん、10年前くらいにウチにエマ置いてどっか行っちゃった」
「うわぁ…サラッと壮絶。でもマイキーくんとエマちゃん似てるので例え血の繋がりがなくても、本当の家族みたいです」
「前にも言われたけどそんなに似てる?オレとエマ。」
「はい。性格以外は。」
「おい、今サラッとディスったろ」
マイキーがジロッとこちらを見る。"そんなことないですよ"とやんわり否定した。
「兄貴がオレら二人の親代わりだった。何をするにもら10コ上の兄貴の後ろ着いてってさ、色んな事兄貴に教わった」
そう語るマイキーの表情が沈む。
「兄貴の周りにはみんな集まってきた。東京中の不良たちが、自分より弱い兄貴を慕った。東京中の猛者達を先導する兄貴はいつでもキラッキラに輝いてた」
「……………」
「あの人が後ろにいるから負けねぇ。みんな、きっとそう思ってた」
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