第18章 ふたりきりのクリスマス
佐野家に着くとエマと万作は既に就寝しており、そっと靴を脱ぎ揃え、起こさないようにマイキーの部屋に向かった。
「外から来ると暖かいですね」
「暖房入ってて助かった〜」
持ってきたコンビニの袋をテーブルに置く。
「カノ、マフラーとコート掛けるから貸して」
「ありがとうございます」
借りたマフラーとコートを脱ぎ、マイキーに渡す。L字型のソファーに隣同士に座ったところでカノトはマイキーが言った"サプライズ"が気になり、話題に出す。
「さっき言ってたサプライズって何ですか?」
「お、早速気になっちゃう感じ?」
「はい」
「ちょっと待ってて」
ソファーから立ち上がり、ベッドの側に置いてあった綺麗な紙袋を手に戻ってくる。
「はい、クリスマスプレゼント」
「え?」
「これがサプライズ」
まさか用意してるとは思わず驚いた顔を浮かべていれば、"ん!"と差し出されたままの紙袋が揺れ、慌てて受け取る。
「私、何も用意してなくて…」
「オレが勝手にしただけだから気にすんな」
「貰ってもいいんですか…?」
「オマエにやる為に用意したんだから当たり前だろ。それより早く開けてみて!」
わくわくとした期待に満ちた目で急かされ、紙袋から両手に収まる可愛いサイズの長方形型の箱を出す。ただの箱かと思いきや、ひと工夫されており、箱の蓋にはパールビーズがあしらったリボンが掛けられている。
「箱も可愛い。取っておきたい」
「むしろその箱がねぇと土台になんねぇし」
「(土台?)」
「中身も見て。ぜってぇ驚くから!」
「(そんなに凄いものが入ってるの…?)」
蓋をパカッと開けた瞬間、一瞬で目を奪われた。種類豊富な花がコンパクトなサイズの中にぎっしりと詰まっており、正直イルミネーションよりも綺麗過ぎて、驚きのあまり言葉を失ってしまう。
「な?な?びっくりしだろ!?」
「……………」
「カノ?もしかして…嬉しくない?」
「う、嬉しすぎて言葉が出てこなくて…」
そう言えばマイキーは嬉しそうに笑う。ピンクと白を中心とした花が詰められていて、飾り映えしそうだ。
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