第18章 ふたりきりのクリスマス
「それで…デートするにしても、夜も遅いですし、どこ行くんですか?」
「決まってんじゃん。イルミネーション見に行くんだよ」
「!」
「約束しただろ?連れてってやる」
あの日の約束をマイキーは覚えていたのだ。もしかするとずっと楽しみにしていてくれたのかもしれない。カノトと一緒に行く事を。
✤ ✤ ✤
バブを走らせたマイキーが連れて来てくれた場所には幻想的な世界が広がっていた。
数万球の様々な灯りの演出で彩られ、そこだけが別世界に見える。きらきらと輝くゴールドのイルミネーションが街の木々を際立たせ、ゴールドのライトで光の散歩道を照らす。
「おーすげぇ綺麗じゃん」
「……………」
「もう時間過ぎて消えてるかと思えば、まだ付いててよかったな!」
その美しさに目を奪われ、マイキーに声を掛けられるも、カノトは言葉を失っている。
「カノ?聞いてる?」
「あ…すみません。その…あまりにも綺麗だったので…魅入っちゃってました」
「確かにこれだけ綺麗だと魅入っちゃうよなー。でも最大の目玉はあっち」
「?」
マイキーが指を差した方向にあったモノに更に目をキラキラと輝かせた。
「うわあ…!すごい!」
円盤状のスノードーム型のイルミネーションの中で、きらきらした雪が舞い降りて来たり、ゆらめくオーロラが現れたり、氷の世界を表現していた。
「イルミネーションをこんな間近で見たの初めてです…」
「こういうの創るのにすげぇ時間掛けてるんだろうな。見に来る人達を楽しませたい!っていう気持ちがめっちゃ伝わってくる」
「はい」
笑いかけるとマイキーも目元を緩めて、笑い返す。
「マイキーくん、連れて来てくれてありがとうございます。こんなに素敵なクリスマスは初めてです」
「良かった。けどまだ終わりじゃねーよ。まだまだオマエを楽しませるって決めてるから」
「え?」
「実はオレの部屋にとっておきのサプライズを用意してるんだけど、来る?」
「!」
「もっとオレと楽しいことしよう」
マイキーは微笑み、手を差し出す。
「はい…」
カノトはその手を…迷わず取った───。
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