第18章 ふたりきりのクリスマス
その言葉に青筋を立てた大寿は歯をギリッと噛み締め、憎らしげにマイキーを睨んでいる。
「オイ、九井(ココ)!!何してる!!?兵隊はまだか!!!早くしろ!!」
「ボス……」
「あん!?」
「オレらの負けだ」
兵隊を呼びに外に出たココが驚いた様に目を見開き、大寿にそう告げる。
「はなせ乾!!」
イヌピーを押し退け、大寿も慌てて教会の外に飛び出す。その情けない後ろ姿を冷たい目で見送るカノトは小さく息を吐き、マイキーを見る。
「マイキーくん、ヒヤヒヤさせないでください…」
「ごめんごめん」
「びっくりしたじゃないですか」
「オレが本気でおかしくなったかもって?」
「……………」
「大丈夫だよ。オマエが傍にいてくれる限り、オレがおかしくなる事はないから。それにもしオレが間違った道に進んでも、カノが手を引いてオレを『正しい道』に引き戻してくれるんでしょ?」
「当たり前です。ダメだって叱って、ちゃんと僕のところに帰って来られるように手を繋いでてあげます」
「うん。オレの帰る場所はいつだってカノのところだよ」
柔らかな顔でマイキーは笑う。
「ん?何そんなに構えてんだ?」
「…ドラケン…!?」
「ドラケンくん!終わったんですか?」
「おう」
「(あの人数を相手に圧勝…さすが東卍のNo.2。)」
「マイキー!!外の黒龍は全員ノシた!オマエに負けて兵隊も失った柴大寿は───戦意喪失」
「うん!」
「え?え!?」
「黒龍はもう死んだ!東卍(オレら)の勝ちだ!」
外に飛び出すとドラケンにやられた黒龍のメンバーが全員気を失って倒れている。
「すげぇ!!」
「…これを一人で?」
「結局、東卍(うち)のトップ二人が一番のバケモンだな」
「ヤベぇ鳥肌立つー!!なぁ!?タケミっち」
「……………」
「タケミっち?」
千冬の言葉が耳に入らず、タケミチは荒い呼吸を繰り返しながらその光景を見つめている。
「タケミチくん…終わったよ。最悪な未来を変えたんだ。大寿も八戒くんも柚葉ちゃんも三ツ谷くんも…みんな、生きてるよ」
なんだかカノトまで泣けてくる。
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