第17章 助けを求めたのは
マイキーの意味深な発言にマドカは不思議そうな顔をする。けれどマイキーは切なげに笑んだまま、話を続けた。
「オレの心の拠り所で、オレの"失くした部分"を補ってくれて、彼女が傍にいてくれるから、オレはオレでいられます」
「マイキーくん…」
「マドカさんの言いたい事は分かってるつもりです。オレが不良だから…カノさんが不幸になるかもしれない。傍にいると傷付くかもしれない。」
"そんなことない"と口を挟もうとしたけど、ぐっと口を噤んだ。
「オレも理解してるつもりです。でも…すみません。マドカさんがどんなに会うなって言っても、別れろって言っても、オレはもう…彼女を手放す事が、できません」
「……………」
「これからももっと彼女に色んな世界を見せてあげたいんです。楽しい世界を彼女と一緒に見てみたいんです」
「(あぁ…こいつも同じ事を言うのか。)」
「だからお願いします。カノさんとの仲を、認めてください。お願いします」
マイキーは頭を下げる。その想いを聞いたカノトも泣きそうな顔を浮かべ、一緒になって頭を下げた。
「(真一郎。こういう形で引き合せるとは思わなかったぞ。けど…)」
マドカは頭を下げたままの二人を見る。
「(こいつらが出逢ったのも…運命かもな。まぁ…"誰かさん"が引き合わせただけかもしんねーけど。)」
マドカは軽く笑うとマイキーに声をかける。
「ひとつだけ約束しろ」
「!」
二人は頭を上げ、マドカを見る。
「何があっても絶対に妹を守れ。死なせるような真似したら俺がお前を殺す」
「兄さん、それって…」
「約束しろ、佐野万次郎。」
「約束します。何があっても絶対にオレがカノさんを守り抜きます。死なせるような真似は絶対にさせません」
「もし約束破ったら今度こそ本気でお前をカノから引き離して、もう二度と会わせないからな」
「はい」
「…お前達の仲を認めてやる」
「兄さん…!」
カノトは嬉しげに笑う。
「仕方なくだぞ!約束破ったらマジで許さん!あと!成人するまでは絶対にカノに手出すなよ!」
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