第17章 助けを求めたのは
「なんだそんなことか。テメェに似てクソ生意気だったからあの時みてぇに蹴っちまった!!それがどうし──」
ゴッ!!
言い終わる前に男の顔面にマドカの拳がめり込んだ。鼻血を出しながらよろけた男はドサッと地面に倒れ込んだ。
「(瞬殺──!!)」
カノトとマイキーは目を見開き、驚いた顔を浮かべる。そしてマドカは振り返り、無表情でマイキーを見た。
「佐野万次郎」
「!オレの名前、知ってたんですか…?」
「お前が東京卍會の総長で、真一郎の実の弟だって事も知ってる」
「!!」
「え?兄さん、マイキーくんのお兄さんのこと知ってるの…?」
「昔からの腐れ縁だよ。なんつーか…"親友"ってやつだ。まぁ…最初に絡んで来たのは真一郎の方だけどな」
「兄貴の…親友…」
「何でコイツが巻き込まれてるって分かった?ここの場所だって知らなかったろ?」
「偶然通りかかった場所で話し声が聞こえて…そこでカノさんが巻きこまれた事を知りました。この場所も最初は突き止められなかったんですけど…声が聞こえたんです」
「声?」
「カノさんの助けを求める声が。"助けてマイキーくん"って…」
「!」
「そしたらその声に導かれるようにこの場所に着いてました」
「確かに…マイキーくんに助けを求めた。でもまさか本当に私の声が届いてたなんて…」
「オレ言ったじゃん。カノが助けてって言ったらどこにいようとも絶対に助けに行くって」
「はい。その言葉を信じていたからこそ、マイキーくんが助けに来てくれた時すごく嬉しかったんです」
カノトは嬉しそうに微笑む。
「礼を言わねぇとな。妹を守ってくれてありがとう。お前のおかげでコイツは助かった」
「!!」
「佐野万次郎…ひとつ聞かせてくれ」
「はい」
「お前にとってカノはどういう存在だ?」
真剣な表情でマドカはマイキーに問う。その質問にマイキーは驚くわけでもなく、ただ自分の思いを素直に伝えた。
「オレが命をかけてでも守りたい存在です。彼女はオレに『帰る場所』を作ってくれます。オレが帰り道を忘れても…ちゃんと『そこ』に戻って来られるように」
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