第17章 助けを求めたのは
「この…調子に乗ってんじゃねええ!!」
「!」
「カノ!!」
主犯格の男が二人の強さにビビり、鉄パイプを振り上げながらカノトを襲う。マドカは咄嗟に妹の名前を呼んだ。
ガッ!!
「!!」
「マイキーくん…!」
「コイツに指一本でも触れたら殺す。」
カノトを庇うように前に立ち、振り下ろされた鉄パイプを片腕で受け止めたマイキー。
「腕!痛くないですか…!?」
「平気。オマエに当たらなくて良かった」
「(また私の心配ばかり…)」
"少しは自分の心配してよ"と泣きそうな顔でそう思った。
「(自分の身を盾にしてカノを守った…。そういえばあいつ、戦ってる間ずっとカノの傍を離れなかったな。)」
マドカは腰に手を当て、息を吐き捨てる。
「(あぁ、そうか。お前が助けを求めたのは俺じゃなくて"そいつ"だったのか。そいつなら絶対に助けに来てくれる。あの時のお前の言葉は、本当だったんだな。)」
ふと切なげに笑ったマドカは歩き出す。
「残るはテメェ一人だ」
「くっ……」
マイキーにそう言われ、追い詰められた男は二人の後ろからマドカが歩いて来るのが見えた。
「宮村望…!!」
「え?」
「……………」
カノトが首を横に向け視線を上に遣るとマドカが立っていた。驚いた顔をして"兄さん"と言いかけたカノトの頭にぽんっと手を置き、チラリと横目でマイキーを一瞥すると、男に近付いて行く。
「ハ…ハハ…何だよ、来んのが遅せぇんだよ!!どれだけテメェを待ったと思ってる!!」
「テメェもしつけぇ野郎だな。あれから何年経ってると思ってんだ。今更俺にやられた仕返しとかしてんじゃねーよ」
「うるせえ!!テメェさえぶっ殺せればあの時の復讐ができんだ!!なぁ皇帝!!俺と勝負しろ!!今度こそテメェを潰して俺が勝つ!!」
「…しねぇよ」
「あァ!?何でだよ!!」
「『あいつ』が死んでから、喧嘩はしねェって決めてんだ」
「何ワケわかんねぇこと言ってやがる!!」
「けど…今日ばかりはあいつも許してくれんだろ。おいこらテメェ…俺の大事な妹を傷つけやがったな?」
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