第17章 助けを求めたのは
「(そう言えばコイツの名前、どっかで聞いたような気が…)」
主犯格の男はマイキーを見て訝しげな眼差しを向けた。
「(まぁいいか。どうせ大した奴じゃねぇ。それより今は…コイツらをぶっ潰す。)」
"あの男は下っ端共に任せて、俺はあのガキを痛めつける。昔みたいにピイピイ泣いても蹴って蹴って蹴り続けて、あの綺麗な顔をぐちゃぐちゃにしてやる…"
男はニヤァ…と不気味な笑みで笑う。
「やっちまえ…!!!」
男達が一斉に二人に襲いかかった。
✤ ✤ ✤
その頃────。
「クソッ!!あいつら…!!」
焦りと不安が混ざった顔で雪道を走り続けるマドカはカノトの事が心配で仕方なかった。
「(カノにもしもの事があったら俺は…。あの時みたいに傷付いて泣いてたら…)」
昔の事を思い出したマドカはギリッと歯を噛み締める。"どうして一人で行かせてしまったんだろう"と後悔ばかりが押し寄せる。
「(俺が守ってやらないと。今もきっと助けを求めて泣いてる。あの子は弱い。弱くて優しいから…早く俺が行って"もう大丈夫だ"って言って安心させてやんねぇと…)」
"そして今度こそあいつらを…"とマドカは殺意が宿る目を向ける。指定された倉庫のような場所に辿り着いたマドカは破壊された扉を発見した。
「(扉が無い…?)」
すると中から争う声が聞こえ、ハッとしたマドカはきっとカノトがやられているんだと思い、慌てて中に飛び込んだ。
「カノ────!!!」
妹の名を呼び、目を見開いた。
「おらぁ!!」
ガッ!!
「ぐあっ!!」
カノトに蹴られた男が吹き飛ぶ。
「大丈夫かカノ!?」
「…はい!!」
「あと少しだ!」
「っ、はい…!!」
息を乱しながらマイキーの声に応える。その光景を目の当たりにしたマドカは驚きで言葉を失う。
「(佐野万次郎?何であいつがここに…?)」
「くそ!何なんだよテメェらは…!!」
「(カノが喧嘩してるのか…?あの子が…あそこに転がってる奴をさっき蹴り飛ばしてた。あの…泣き虫なカノが…?)」
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