第17章 助けを求めたのは
「キレーな顔が台無しだなァ。どうせなら俺が貰ってやろうか?テメェの事たくさん可愛がってやるよ。俺の愛玩具としてな!」
「きもち、わるい…」
「あン?」
「吐き気がするね。お前みたいな奴に、可愛がられると思うと…心底吐き気するっ!」
「……………」
男は前髪を放すと側に落ちてた鉄パイプを拾い上げ、冷たい目でカノトを見下ろす。
「あの野郎に似てテメェは生意気だな。早いとこぶっ倒してコイツらの性欲処理女になってもらうわ」
「(あぁ…本当にやばい。下手したら気絶どころか殺される。)」
逃げたくても体が痛くて動けない。最悪、頑張れば逃げ切る体力は残っているかもしれないが、きっとまたすぐに捕まるだろう。
「テメェの兄貴もそろそろ来んだろ。気絶したテメェを犯して、あの野郎がショックで動けねェ間に俺らは復讐を果たす」
「兄さんは…お前らなんかにやられない」
「そいつはどうだろうな?あの時は油断したが、今は違う。俺らだってあの時より格段に強くなってる。それにこっちは多勢だ。テメェの兄貴はまた一人だろ?」
「…それでも、敗けない。」
「チッ…テメェもしつけェな!無理に決まってんだろ!?あの野郎は負ける!俺らには勝てねェ!絶対だ!」
ビッと鉄パイプを顔の前に突きつける。
「今度はあの時みたいにはいかねェぞ。どんな手を使ってでもあの野郎をぶっ殺す!」
「……………」
「さてクソガキ。テメェはここまでだ。」
男は鉄パイプを片手で振り上げる。
「(こんなところで死ねない。まだ何も救えてない。兄さんも、闇堕ちしたマイキーくんも。幸せな世界に…たどり着いてない。)」
ギュッと掌を握り締める。
「(…この声が、届くかは分からない。私の想いが…伝わるのかも分からない。けど…もう、私一人じゃダメだ。)」
涙が浮かび、泣きそうな顔で天井を見上げる。
「あ?泣いてんのかよ?」
男が馬鹿にするように笑った。
「…助けて。」
か細い声で呟く。
「今更命乞いしたって助けるわけ…」
「助けてッ!!────マイキーくん…!!!」
ガァン!!!
「!!?」
「な、なんだァ!?」
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