第17章 助けを求めたのは
「女のクセに強ぇなオイ…」
「皇帝の妹なだけあるわ」
「けど…そう主導権は握らせねェよ」
二人の男はニヤリと笑った。
「う…うわあああ!!」
脅えた声を上げながら拳を構え、カノトに向けて振り翳す。
「(これは、避ける。)」
「うっ!?」
体を少し捻って男の拳を躱し、伸びたままの男の腕をガシッと掴み、さっきの男と同様に背負い投げた。
ダンッ!!
「いってえ!!」
「(これで…二人。)」
「ふっ…詰めが甘いなァ、クソガキ。」
「!」
傍観していた男が蔑むように嘲笑う。その時、背後に気配を感じ咄嗟に振り返ろうとしたが…
「おらァ!!!」
ガンッ!!
「っ!!」
振り下ろされるタイミングが早かったのか、回避できず、背中を鉄パイプで殴られ、ドサッと地面に倒れ込んだ。
「(いっ…たい!!)」
骨でも折れてるんじゃないかと云うくらいの激痛が背中全体に襲いかかり、心臓がバクバクと逸る。
「あ…う…」
「へへ…やってやったぜ!!」
「(痛い…痛くて動けない。背中の骨、折れたかも。痛くて涙が…)」
だが男達の前で泣くもんかと必死に我慢して涙を引っ込める。
「惨めだな女。テメェの強さは厄介だ。あの野郎以上に喧嘩の才能があるよ。けど…所詮は女だ。男の強さには適わねェ。」
「ハァ…ハァ…」
「悔しいか?男の俺達に勝てないって分かって。いい気味だ。素直に謝ればさっきテメェが馬鹿にした事は許してやるぞ?」
「ハァ…ハァ…ハァ…」
なんとか痛む体にムチを打ち、上体を起こす。蹴られて身体中が痛い。顔も傷だらけで、口から血だって出てる。
「(ボロボロだな、私…。)」
正座したまま、頭を項垂れる。
「(やっぱり女の力じゃ限界がある。まだ半分も減らせてない。このままだと兄さんが来ちゃう…)」
「なぁ…聞いてんのかよ!?」
「いっ!?」
前髪を掴まれ、強制的に上を向かせられる。痛みで顔を歪めるカノトを見て満足そうに笑った男はしゃがみ込んで言った。
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