第17章 助けを求めたのは
「今からテメェにはあの野郎を呼び出してもらう。いいか?ちゃんとあいつが助けに来るように演技しろ。しくじったら殺すからな」
いつの間にか手にしていたカノトの携帯でマドカに電話を掛ける。
「よぉ、久しぶりだなァ、宮村望くん。あの時以来だな?…あ?誰だって?テメッ!半殺しにした相手の声くらい分かれよ…!!」
「(兄さん…来ちゃダメ…)」
「…おお、そのまさかだ。よーやく思い出したか。…そうだな、お前の溺愛してる妹の携帯だな?クククッ…そろそろ状況呑み込めんだろ!?あの時と同じだよ!!テメェ今から俺らが指定する場所に一人で来いや」
「(まだ頭がクラクラする…吐きそう。)」
「ハッ…ンなに怒んなよ。そうだ。あの時みたいに妹の声、聞かせてやるよ。…ほら、コイツが来るように助けを求めろ。ただし…前みたいに余計な事しやがったらタダじゃおかねェからな」
目の前に携帯を突きつけられる。カノトはマドカに助けを求めるか迷っていた。このまま素直に『助けて』と言えば、マドカは必ず助けに来てくれる。でもそれだと奴らの思うツボだ。
「(また兄さんを失うなんて冗談じゃない。こんな奴らのせいで兄さんを失うくらいなら…)」
《………カノ?》
あの時と同じように心配そうなマドカの声が聞こえた。だから安心させる声で言った。
「兄さん。私なら大丈夫だよ。こんな奴らに私は負けない。だから絶対に来ないで。復讐なんかで兄さんの命は消させない。兄さんは…絶対に私が守る。」
「このガキ!!何言ってやがる!!」
蹴ろうとした男の足を顔の前で避ける。
「!?」
まさか避けられるとは思わなかったのか、その場にいた全員が驚いた顔を浮かべていた。
「言ったでしょ。あの頃のままだと思わないでって。今の蹴りはもう見切った」
カノトは立ち上がり、鋭い眼光で男達を睨みつける。その人睨みに男達が一瞬、狼狽えたが、すぐにニヤけた笑みを浮かべた。
「テメェ一人で俺らに勝てると思ってんのか?」
「こっちに何人いると思ってる?女のテメェじゃ俺らには勝てねーよ!」
「(タケミチくんと千冬くんが頑張ってるんだもん。私だって負けてられない。全員は無理だとしても…半分は減らしたい。)」
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