第16章 命乞いにはスイーツを。
「(宮村…?)」
「…なぁ、まさかとは思うけど、カノの兄貴とかじゃねェよな?」
「……………」
二人は嫌な予感を覚える。
「ちょっと聞いてくる」
バイクから降りるとマイキーは、その通行人達に声を掛けた。
「ねぇ」
「「!」」
「その逃げた方の男って、オレと同じくらいの中学生だった?」
「え、うん…君より少し背が小さかったよ」
「怖そうな人達も"中坊"って言ってたから中学生で間違いないと思う」
「ふーん…」
突然話しかけられた二人はマイキーを見て驚いた顔を浮かべている。
「なんか皇帝の妹?とか言ってたよ」
「皇帝…?」
聞き覚えのないワードにマイキーは首を傾げる。
「その中学生の男ってさ…他になんか特徴ある?」
「特徴か…。んー…喧嘩は強かったけど…」
「これと言った特徴は…」
「何でもいいんだ。顔とか身に付けてたものとか。小さな事でもいい。教えて」
「えーと…そうだなぁ…」
「あ!顔と言えば、綺麗な紫色の瞳してた!」
「!!」
「そうそう!男の子なのにまるで女の子みたいな顔だったよね!」
「(紫色の瞳に女みたいな顔の男…)」
マイキーの頭に一人の人物の顔が浮かぶ。
「そいつって…髪の横、ヘアピンで留めてなかった?」
「留めてたけど…」
「……………」
「あ!」
するともう一人がマイキーの首に下げられてるネックレスに気付き、声を上げる。
「そのネックレス!」
「ん?」
「あの男の子も君と同じネックレスしてた!遠目だったからもしかしたら見間違いかも知れないけど…」
「オレと同じ…」
「ねえ!もし知り合いなら早くあの子を助けに行ってあげて!」
「逃げた方向はあっち!」
指を指した方角に目を向ける。
「ありがとオネーサン」
ニコッと笑い、その場から離れ、ドラケンの元に戻ってくる。
「どうだった?」
「…ケンチン」
「やっぱあいつか?」
「うん。不良達が追いかけて行ったの…カノだ。間違いねぇ。」
マイキーの目がスッと冷たく変化する。
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