第16章 命乞いにはスイーツを。
「は?皇帝だと!?」
「久々に聞いたなァ、そのあだ名。」
「そいつの妹にやられたのか?」
「っ、そうだよ…!!」
「女ひとりに男のお前らが負けたのか?」
「…あいつを甘く見過ぎてた!!」
「マジであの野郎と同じ強さ…」
「馬鹿か!!それ以上だったろ!!」
「…んで?皇帝の妹はどこにいる?」
「そうだ!!あのガキ…女が逃げやがった!!」
「お前らが呑気に気絶してる間にな」
「うるせえ!!さっきは油断しただけだ!!」
「早く探してとっ捕まえろ!!」
「クソ…あのガキ。今度は蹴るだけじゃ済まさねーぞ。ぶち殺してやる!」
男達は"邪魔なんだよ!!"と通行人達を強引に押し退け、逃げたカノトの行方を追った。
✤ ✤ ✤
それから少し経った頃────……
「!」
「どうした?マイキー」
「なんかあの辺騒がしくねェ?」
「あん?」
バブを運転していたマイキーは通行人達のザワつきにバイクを路肩に停めた。後ろに乗っていたドラケンもその様子に気付き、不思議そうな顔で通行人達を見る。
「なんかあったのかな?」
「さあな」
"まぁいっか"とマイキーも大して気にも留めずに再びバブを発進させようとした時、近くにいた通行人達の会話が聞こえてきた。
「ねぇ…やっぱり警察に連絡した方が良くない?」
「でも通報して逆恨みであたし達まで殺されそうになったらどうすんの」
「そうだけど…」
「あの子…大丈夫かな?」
「大丈夫じゃない気がする。だって追いかけて行った相手、明らかにヤバそうな人達だったもん」
「ね…あの男の子、殺されたりしないよね?」
二人組みの女性が顔を真っ青にさせて、お互いを見る。
「やっぱり通報しよう!」
「きっとあの子が危ない!」
「でも通報しようにもあの男の子の名前…わからないよ」
「ほら!相手の奴が呼んでたじゃん!」
「あ!そっか!」
「確か名前は…そう!"みやむらまどか"って言ってた!」
その聞き覚えのある名前にマイキーが驚いた顔で『は…?』と呟く。
.