第16章 命乞いにはスイーツを。
「あいつが逃げた方向わかんのか?」
「方向は教えてもらった。そっからは分かんねぇから、探す。」
「とりあえずカノに電話してみろよ」
「……………」
ポケットから携帯を出し、カノトに掛ける。数回のコールが続くも、カノトが出る気配はない。
「出ねぇ」
マイキーは眉を顰め、低い声で呟く。その表情から焦りと不安が垣間見えた。するとドラケンは無言でバイクを降りる。
「ケンチン?」
「あいつ助けに行くんだろ?オレがバイクに乗ってくと帰りにカノが乗れなくなるし、ここら辺で適当に時間潰してっから終わったら迎えに来い」
「…悪い」
「迎えに来る時は絶対お前ら二人一緒な」
ニィッと笑うドラケンに対し、マイキーも笑い返すとバブに跨り、排気音を響かせ、バイクを急発進させた。
「頼んだぞ、マイキー」
走り去るマイキーを見送ると、ドラケンは暇を潰す為、寒空の中、歩き出した。
✤ ✤ ✤
「ハァハァッ…!!」
「待てクソガキ!!」
「(どうしよう!!追って来てる…!!)」
傘を投げ捨て、雪道に足を取られる中、仲間の仕返しに追ってきた奴らから逃げるように息を切らしながら走り続ける。
「(もうどこ走ってるのか分からない。どんどん人気のない場所に行ってる気がする…)」
「待てっつってんだろうが!!」
「(やばい!!捕まる!!)」
「ハーイ、そこまで。」
「っ!?」
「やっと捕まえたぞクソガキ」
後ろばかり気にしていたせいで、目の前に現れた別の男に捕まってしまう。
「無駄に体力使わせやがって」
「ハァ…ハァ…ッ」
「逃げんじゃねェよクソガキ!」
「うぐっ!」
ゲシッと再びあの男に蹴られ、地面に倒れ込む。冷たい雪の感触が体に伝わった。
「あー今度は吹っ飛ばなかったか」
「ちょうどいい。コイツ使ってあの野郎呼び出そうぜ。おら、とっとと来い!」
ぐいっと強引に立たされ、そのままどこかに連れて行かれる。
「(お願い…助けて───。)」
恐怖で体が震え、声も出せない状況の中、真っ青になった顔で、助けを求めるのだった…。
next…