第15章 届かない想い
「きっとバチが当たったんだ。あいつを独り占めしたから。オレのせいでカノは兄貴にひどく叱られてた」
「……………」
「なぁケンチン。オレが不良だから、カノが悪く言われんのかな…。不良の世界に巻き込んだのはオレだ。何であの時、あいつまで誘っちまったんだろ。タケミっちだけで良かったはずなのに…」
「けどあの時オマエがカノを誘ってなきゃ、オマエらは"そこ"で終わってたぞ」
「!」
「最初から何の接点もない二人だ。喧嘩賭博の時、オマエがカノに声を掛けて、不良の世界に誘ってなければ、知り合うどころか出会ってすらなかったんじゃねェの?」
マイキーはドラケンを見る。
「あの日、オマエらは出会った。オマエはカノを見つけて、カノはオマエに見つけてもらった。そこから繋がりを得て、『ここまで』来たんだろ」
ドラケンの言葉にマイキーは驚いた顔で目を見張った。
「まるで誰かの手助けがあったみてぇにさ、オマエとカノはお互いに引き寄せられたんだよ」
「誰かの手助け…?」
「ま、誰かは知らねぇけどな。だから諦めンのはまだ早ぇんじゃねーの?」
ドラケンはニヤリと笑う。
「…"お前は妹を殺す気か"って言われた時さ…驚くと同時に嫌な考えが頭をよぎった」
「嫌な考え?」
「"あぁ…オレは本当にこいつを殺しちまうかもしれねェ"って…」
「!」
マイキーの発言に今度はドラケンが驚いて目を見開いた。
「全然そんな事思ってねェのに、何故か頭に浮かんだんだ。オレは…連れて行かれるあいつを引き留める事ができなかった」
「……………」
「だから怖くて会いに行けねぇ。ダセェだろ?」
辛そうにマイキーは笑った。
「でも…手放そうとは思わない」
「!」
「もう…手放せねェんだ。手放すきっかけは前に与えた。それでも逃げずに傍にいる事を選んだのはあいつだ」
そして真剣な表情がふと崩れる。
「あーほんと…カノがいねェとダメだな、オレ。」
"はは…っ"と切なげに笑う。
「だったらもう答えは出てんだろ」
ドラケンは立ち上がり、腰に手を当てたまま、寝そべるマイキーを見た。
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