第15章 届かない想い
「"もう会うな"って言われたくらいで諦めてんじゃねーよ。本当はカノに会いてぇんだろ?だったらグタグタ悩む前にイケメン兄貴を納得させるだけの理由見つけて、あいつを迎えに行きゃあいいだけの話じゃねーか」
「別に諦めたわけじゃ…」
「うっせ!いいから早く理由見つけて会いに行け!オマエらが一緒にいねェと…オレまで調子狂うんだよ」
「ケンチンもしかして心配してくれてる?」
「オマエじゃなくカノをな」
「オレの心配もしてくれてもいいじゃん!」
マイキーは子供っぽく怒り、立ち上がった。
「でも確かに諦めるにはまだ早ェよな。ありがとケンチン。おかげでヤル気出た!」
「おー…って、どこ行くんだ?」
バイクの方に歩いて行くマイキーを不思議に思いながらドラケンも後に続こうとする。
「あ。ケンチンはもう帰っていーよ」
「は?何でだよ?」
「こっからはオレ個人の用事だから」
「どっか行くのか?」
「んー…ちょっとね…」
「?」
「ケンチンも手伝ってくれたらスゲー助かるけど…こればかりはオレが一人で探さなきゃいけねーからさ」
「最近どこか行ってるよな?もしかしてそれか?」
「まぁね。でもやっぱ難しいな。端から端まで探してっけど見つかんねーの。オレ探すの下手くそだわー」
「いや、何言ってっか全然わかんねーよ」
笑みを浮かべるマイキーだがドラケンには何の事だかさっぱり分からず、頭を悩ませる。
でもマイキーがそこまで真剣に何かを探しているのは珍しい。そして長い付き合いであるドラケンはピンと来た。
「興味ねー事はほとんどスルーすンのに…飽き性のオマエが毎日どこかに通って、見つかりもしねぇ"探し物"を一生懸命探してンのは、カノが関係してんのか?」
「ナイショ♥」
マイキーは人差し指を口に当て、ニッと笑った。ドラケンは明らかにカノト絡みだろうとは思ったが敢えて口には出さなかった。
「見つかるといーな。オマエの探し物。」
「そこはほら、オレの頑張り所じゃん?」
マイキーは笑うとドラケンと別れ、バイクを走らせる。その後ろ姿を見送ったドラケンは"頑張れよ…"と声を掛け、ふと笑った。
next…