第15章 届かない想い
何度も電話を掛けようと思った。発信ボタンに指は置くも、押す勇気はなかった。こういうところが臆病だ。
「クリスマスもね…会う約束したの。でも…会えなくなっちゃった」
へらっと辛そうに笑う。
「いつかは兄さんに私達の関係がバレるとは思ってたけど…まさかあんな形でバレるなんて…」
「マイキー君はオマエを引き留めなかったのか…?」
「…引き留められなかったんだと思う。すごく悲しそうな顔はしてた」
「……………」
「せっかくのデートを台無しにしちゃった。もしかしたら…別れるって言われるかも…」
「それは絶対にない」
タケミチはキッパリと否定した。
「な、何でそう言いきれるの?」
「マジで分かんねーの?」
「うん…」
「はぁぁ〜……」
「溜息長くない?」
「いいか?マイキー君はビックリするくらいオマエにゾッコンなんだぞ?マドカさんにキツく言われたくらいでオマエと別れるとか絶対にあり得ない!!」
「そ、そうかな…」
「そこはオレが保証する!だから元気出せよカノちゃん!!きっと大丈夫だって!!な?」
「ありがとうタケミチくん」
タケミチに励まされた事で少し元気を取り戻し、笑みを浮かべた。
✤ ✤ ✤
その頃────。
「……………」
河川敷の斜面に仰向けで寝転がり、ぼぅっと面白くもない空を眺めるマイキー。
そんなマイキーの様子を隣に座り、見ているドラケン。
「どうしたマイキー」
「んー?」
「元気ねェな。つーか落ち込み具合が半端ねェ。明らかになんかあったろ?」
「…そんなに落ち込んでるように見える?」
「空気感がな。オマエはいつもと変わんねぇよ。まぁ、オマエがそんなに元気ねぇのはカノが関わってんだろうけど」
何でもお見通しのドラケンに"さすがケンチン"と云った様な顔で笑い、再び空を見つめる。
「…カノの兄貴に、もうカノと会うなって言われた」
「あいつ兄貴がいんのか」
「カノに似てすげーイケメン」
「んで、そのイケメン兄貴にカノともう会うなって言われて、オマエは素直に従ってんのか?」
「……………」
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