第15章 届かない想い
ぼふっ!!
「もう!!兄さんの馬鹿!!頑固!!頭でっかち!!わからず屋!!」
ぼふっ!!
近くにあったクッションを引っ付かみ、怒りをぶつけるようにベッドに叩きつける。
「はぁはぁ……っ」
一頻り暴れた後、ぽふっとベッドに倒れる。脱力感が襲い、しばらくボーッとしていた。
「…にいさんの、ばか。」
うるっと目に涙を潤ませる。
「マイキーくん…」
あの後ちゃんと帰れただろうか
あんな顔をさせて…
"またね"も言えないまま別れた
「会いたい」
会いたいよ───……
「そうだ…電話…」
携帯を出し、マイキーの番号に掛けようとして、ボタンを押す指が止まる。
「……………」
マイキーくんに嫌な思いをさせた
「("お前は妹を殺す気か?"って言われた時のマイキーくんの顔…すごく悲しそうだった。)」
違うのに
むしろ守ってくれてるのに
ずっと私のことを…
「(守ってくれてるのに──……)」
どうしてこんなことになったんだろうと後悔した。マドカは不良を毛嫌いしている。だからマイキーのことも好きになれないのだと。
「(最悪なデートになっちゃった…)」
もう何をする気も起きず、その日はそのまま眠りについた。
✤ ✤ ✤
目を腫らしたまま教室に入るとクラスメイト達が驚いた顔でこちらを見た。"動物のドキュメンタリーは涙腺を誘うよね"なんて笑って誤魔化したが、心配する声は止まず。
中には"宮村ついに女にフラれたか…"とか"彼氏持ちの女に手出して修羅場ったんだぜ"とか変な噂が広まる。そこはしっかり否定しておいた。
「カノト…!?」
「おータケミチくん」
「どうしたんだよ?目真っ赤じゃん!せっかくのイケメンが台無しだぞ!?」
"あはは…"と沈んだ表情で笑う。
「…もしかしてマイキー君と何かあったのか?」
普段は頼りないダメフリーターなのに長年の付き合いだからだろうか、こういう時は勘が鋭い。
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