第2章 無敵のマイキー
「兄貴の時代はさ、この辺りもすっげー数の暴走族がいてさ、その辺をチョッカンコール鳴らして走ってた」
「(チョッカンコール?)」
「みんな肩肘張ってさ、喧嘩ばっかして、でも自分のケツは自分で拭いて。そんな奴らがなんでダセーんだ?」
「…………」
「だからオレが不良の時代を創ってやる。オマエらもついてこい。オレはオマエらが気に入った。花垣武道、宮村心叶都。」
「喧嘩強ぇ奴なんていくらでもいんだよ。でもな、“譲れねぇモン”の為ならどんな奴にでも楯突ける。オマエみたいな奴はそーいねえ」
「ダチを守る為なら命張れる奴もな」
マイキーはカノトを見て笑う。
「考えとけよ。タケミっち、カノ」
そう言って二人は帰って行った。
「ねぇタケミチくん。マイキーは“不良”だけど“悪い奴”じゃないと思うの」
「あぁ、オレもそう思う。少なくとも祭りにトラックで突っ込んで関係のないヒナを殺しちまうような現代の東京卍會。そんな組織のボスでは絶対にない」
「うん。兄さんを殺したのが未来(いま)の東卍だとは思えない。何が彼を変えたんだろうね」
話し合いながら歩いていると前から不良組が二人の横を通り過ぎた。
「“佐野万次郎”と」
「“稀咲鉄太”」
『二人が出会わなければ今の東京卍會は存在しなかった』
「あれ!?」
「どうかした?」
立ち止まったタケミチは後ろを振り返る。その先にはまだ不良達が歩いていた。
「ん?なんかどっかで見た事あるよーな…」
「今の人達?え、知り合い?」
「知り合いってわけでも…どこで見たんだっけ?」
必死に考えるが結局思い出せなかった。
✤ ✤ ✤
「夜の世界って少し怖いなぁ…」
期末テストが終わり、返されたテストの結果が良かった為、兄のマドカに報告すると“これはお祝いだ!!”と大喜びし、あろうことか北京ダックを買ってくると言い出したので全力で止めた。
代わりにコンビニでケーキを買ってくるから大人しく待っててとだけ伝え、カノトは家を出た。
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