第2章 無敵のマイキー
「マイキー、あんま困らせんなよ。コイツ動揺してんだろー」
「動揺なんかしてませんけど!?」
「カノは面白いな」
二人にからかわれ、逃げ道を探したカノトはタケミチに助けを求めた。
「(タケミチくんヘルプ!)」
「(無理!!)」
「(がーん…!!)」
タケミチに見捨てられ、ショックを受ける。
「あの、なんでオレたちの事なんか気に入ったんスか?」
「………、くっだらねー質問。」
「スンマセン」
「オレ、10コ上に兄貴がいてさ。死んじまったんだけどネ」
「!」
「無鉄砲な人でさ、自分より全っ然強ぇ奴にも平気で喧嘩挑んじゃうの」
「かっけぇ人だったんスね!」
「タケミっち兄貴に似てる」
「へ!?」
「タケミチくんに…」
「そんなかっこよくねえっスよ!!どこをどう見たら」
「確かにタケミっちみたくダサくねーな」
「…それはヒドイっス」
「カノは──……」
「!」
「喧嘩賭博の時、ボロ負けしそうなタケミっちに声援送ってたじゃん?そんとき少し声が震えてたの知ってた?」
「え?全然…」
「だろうな。本当は怖いはずなのにダチを守る為に命張ってる姿見て、すげーかっけぇって思ったんだ」
「!」
「あと見た目に反してキレると口が悪くなるのにも驚いた」
「あ、あはは…」
「でもそこも含めてかっこいいって思ったよ」
ストレートに褒められると恥ずかしいな…
「ありがとうございま…」
「あとはからかうと面白そうな反応してくれるオマエ見てると楽しいから♪」
「……………」
「ふはっ、眉間にシワ寄ってるし」
「美形が台無しだな」
「…そこまで美形じゃないです」
「いーや、綺麗な顔してるよオマエ。まるで女みたいだな」
マイキーの何気ない言葉にタケミチとカノトはギクリとする。
「(この人、案外鋭いかも…)」
河川敷に着いた4人は自転車から降りた。
「今って不良がダセーって言われる時代だろ?」
「(そっか…この頃からそんなふーに言われてんだ…)」
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