第14章 我儘な総長は照れ屋な彼女が愛おしい
気付けば外は暗く、時刻は23時を回っていた。マドカにこれから帰るとメールはしておいたが、返事は返って来なかった。
「(遅くなっちゃった。さすがに兄さん怒ってるかな…)」
不安になりながらマンションの前に着く。後ろから下りてヘルメットをマイキーに渡す。
「マイキーくん。今日はありがとうございました。海、すごく楽しかったです」
「オレもすっごい楽しかった。お風呂も一緒に入ってくれたし、たくさんちゅーもできたから満足!」
「お風呂の件に関してはマイキーくんがいつまでも駄々をこねるから仕方なくですよ。本当に風邪でもひかれたら困りますからね」
「タオルは要らなかったと思うけどなー」
「いるに決まってるじゃないですか!」
「別に風呂で襲う気はなかったよ?」
「あ、当たり前です…!!」
「(まぁ結局理性崩れて襲いかけたけど。)」
「カノ!!」
「!」
怒気を含んだ声が聞こえ、マンションのエントランスに目を向ける。
「兄さん…!」
険しい表情を浮かべたまま、マドカがこちらに向かって歩いて来た。
「こんな時間まで一体何してたんだ!遅くなる時は連絡しろって言っただろ!外もこんなに真っ暗じゃないか…!」
「ご、ごめんなさい…」
珍しくマドカに叱られ、しゅんと落ち込む。
「すみませんオレのせいです」
「!」
「オレがこんな時間まで妹さんを連れ回しました」
バイクから降りたマイキーが怒っているマドカに頭を下げる。
「マイキーくんのせいじゃない!兄さんに連絡するのが遅れた私が悪い!」
マドカは厳しい表情で頭を下げたままのマイキーを見下ろす。
「お前が妹を誑かしてる奴か」
「兄さん!?なんてこと言うの!?」
「こんな時間まで大事な妹を連れ回しやがって…一体何を考えてんだ!!」
「……………」
「お前ら不良の世界に妹を巻き込むな!!」
「兄さん!!!」
その言葉に流石のカノトも黙ってなかった。
「マイキーくんに謝って!!」
「いいよ、カノ」
「良くない!!兄さんはマイキーくんが不良ってだけで判断するの!?」
「不良に関わるとロクな目に遭わねェからな」
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