第14章 我儘な総長は照れ屋な彼女が愛おしい
「やっ……!」
「引っ張っちゃおーかなぁ」
「引っ張んないで…!」
あわあわと焦るカノトの反応を楽しむようにマイキーは笑って見つめている。
「わ、わかりました!浴衣はそのままでいいので紐から手を放してください!」
「遠慮しなくていいのに」
パッと手を放したマイキーはカノトの上から退くと、横に寝転がった。
「今日はマイキーくんに意地悪ばっかされて悔しい気持ちです…」
「オレ、好きなコは徹底的にいじめたいタイプなんだ。意地悪すんのもオマエの全部が愛おしいからだよ。だから諦めて」
「…ドS」
「オマエ限定」
ちゅっと瞼の上にキスを落とす。
「海、楽しかった?」
「はい!」
「桜貝見つけられなかったのが悔しいな」
「あれだけ探しても見つからないんじゃ、あの浜辺には落ちてないのかもしれないですね」
「似たようなのはあったんだけどなー」
「見つけられてたら嬉しかったですね」
ちょっぴり残念そうにカノトが笑う。
「なぁ、今度はどこ行く?」
「そうですねぇ…どこ行きましょうか?」
「んー…あ!もう少しでクリスマスじゃん?イルミネーション見に行かね?」
「イルミネーション!」
「そういうの見るの好きだろ?」
「はい!」
「じゃあ、決定な」
まさかクリスマスのお誘いがあるとは…
嬉しい!
マイキーくんとまた一緒に過ごせる!
「ふふ、楽しみだなぁ」
幸せすぎて…怖いくらいだ
「(プレゼントも考えなきゃ。マイキーくんならどんなものが似合うかな?)」
あれこれとマイキーに贈りたいプレゼントが浮かび、家に帰ったらメモに書き込もうと思った。
「(今年は最高のクリスマスになりそう!)」
嬉しすぎて口元が緩んでしまう。
「服、乾いたら出よう。家まで送る」
「はい」
「それまで色んな話しよ!」
服が乾くまでの間、寝転びながらマイキーとカノトは他愛ないお喋りを楽しんだ。
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