第14章 我儘な総長は照れ屋な彼女が愛おしい

「なにそれ…ロクな目に遭わないって…」



「秋だったか。お前が頬に痣を残して家に帰って来たのは。」



「！！」



「お前は"人違いで殴られた"と俺に言ったが…本当はコイツらの喧嘩に巻き込まれたんじゃないか？」



「それは…」



「どうなんだ？」



「……………」



「お前に聞いても素直に答えてくれないな。…なぁ───お前なら答えてくれんだろ。」



マドカはマイキーを怖い目で見た。



「カノをお前らの喧嘩に巻き込んだな？」



「……………」



マイキーはゆっくりと顔を上げ、睨みつけているマドカを見た。



「はい」



「違う!!私が勝手に…!!」



「オレがカノさんを巻き込みました。本当は止めるべきだと分かっていたのに、オレはそれを止めませんでした。彼女が怪我を負ったのはオレの責任です」



「マイキーくん…」



「本当にすみませんでした」



「(違う…違うよ…)」



血のハロウィンで負った怪我はマイキーのせいじゃない。元は油断していたところに相手側の男が殴りかかって来て、それを避けられなかった自分の責任だ。



「やっぱりロクな目に遭わねぇな。」



マドカは溜息を吐いた。



「お前は妹を殺す気か？」



「！」



マイキーは目を見開く。



「兄…さん…」



カノトも驚いた顔でショックを受けている。



「カノは大事な妹なんだよ。やっと…この子を縛り付けていたあの家から解放されたんだ。何も恐れる事もなく、何も傷付けられる事もない。そう思ってたのに…」



「！」



「お前が妹を誑かしたせいで、カノは不良の世界に行っちまった」



「私は誑かされてなんかいない!!それに不良の世界に首を突っ込んだのは…」



「妹にはもう二度と会うな」



「兄さん!?」



「……………」



「話は終わりだ。帰るぞ、カノ」



「え!?待って…!!」



「お前にも二度とアイツには会わせない」



「！！」



手を掴まれ、強引に引っ張られる。慌てて後ろを振り返りマイキーを見ると、眉を下げ、じっと地面を見下ろし、悲しみと切なさが交ざったような表情を浮かべていた…。



next…