第2章 無敵のマイキー
「バカだなータケミっち。女に手ぇ出すワケねーじゃん」
殴ろうとしたのはフリだったみたいで、二人は呆気にとられる。
「(冗談、だったの…?)」
「すげー泣きそうな顔。」
「!」
「安心してよ、冗談だからさ」
笑ったマイキーを見てホッと安堵の息を零した。それからマイキーを引っ張った理由が勘違いだと気付き、ヒナは謝罪する。
「ゴメンなさい!!私勘違いしちゃって」
「いーよ別に。すげービンタだったなぁ」
からかうように頬を擦る。
「すみません!!」
「好きな男(ヤツ)の為に頑張るのはいいけど無茶しちゃダメ。相手が相手なら大変な事になっちゃうよ?」
「ハイ!」
優しく注意されるとヒナは頷いた。
「ヒナ…行くね?」
「え?デートは?」
「今度でいいよ。せっかく友達が遊びに来てくれたんだし」
「バイバーイ」
ぺこぺこと頭を下げながらヒナは校舎に入って行った。
「いいコじゃん。滅多にいねーよあんなコ」
「あ、」
「大事にしてやれよ」
「(私がナオトくんから聞いた12年後の“東京卍會”。賭博・詐欺・強姦・殺人。なんでもアリの極悪集団だ。)」
「カノ、オマエは後ろな」
「あ、安全運転でお願いします」
ドラケンの自転車の後ろに乗せてもらい、カノト達はどこかに向かう。
「(本当にこの人があの“極悪東卍”のアタマなんだろうか?)」
じっと見つめていると、その視線に気付いたマイキーがこちらを見た。
「そんなに熱い視線で見られると照れちゃう♥」
「は!?」
悪戯っぽく笑うマイキーの言葉にカノトは慌てて否定する。
「み、見てません…!」
「オレのこと穴が空きそうなくらい見つめてたじゃん」
「ち、ちが…!」
「オイ、急に暴れんな!落ちるだろうが!」
「す、すみません…」
「そんなにオレが気になっちゃうかー」
「ならないです!」
「必死に否定するところが怪し〜」
「べ、別に必死じゃ…」
「いいよ。オレが気になるならオマエがもっとオレを知ってよ」
「っ…………」
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