第14章 我儘な総長は照れ屋な彼女が愛おしい
「する!!約束するから一緒に入ろ!!」
嬉しそうな顔を浮かべるマイキーにカノトは短い溜息を洩らす。
「浴衣持ってこ!」
「(私ほんとマイキーくんに甘いなー。まぁ風邪でもひかれたら困るし…ここは羞恥を捨てて入るしかないか。)」
機嫌よく鼻歌を歌いながらマイキーはカノトの手を引き、風呂場へと向かった。
✤ ✤ ✤
「はぁーあったまるな〜」
「…………」
「カノとくっついてるから、すげーぽかぽかして気持ちい〜」
「……………」
「なぁ、まだ恥ずかしがってんの?」
「当たり前じゃないですか…」
羞恥は捨てられず、着替える時でさえ恥ずかしくてマイキーに後ろを向いててもらった。それなのに湯船に入ったらまさか後ろから抱きしめられるとは思わなかった。
「(タオル巻いててよかった…)」
「早く慣れて」
「…ムチャ言いますね」
「オレの我儘聞いてくれてアリガト」
「何度拒否しても絶対諦めないじゃないですか…だから仕方なくです」
「仕方なくで一緒に入ってくれるとかカノやっさしぃ〜♥」
マイキーはぎゅぅっと抱きしめる。
「というかどっから持ってきたんですか、このアヒル達…」
「浴衣と一緒に置いてあったから連れて来ちゃった」
ぷかぷかと湯船に浮かぶ三体のアヒルさん人形。お湯の波に揺れてゆっくりと移動している。
「先頭にいるコイツがアヒル隊長な。こっちのちっこい二匹は新米部下。これから荒れ狂う海原を制する旅に出る!」
ザブーン!とマイキーがお湯の中に手を潜らせ、少し強めに揺らすと、アヒル達は浮き上がり、そして三体とも着水する。
「お、ひっくり返らなかった」
「このアヒル隊は強いのかも知れませんね。きっと無事に大海原を乗り越えられますよ」
つんっとアヒル隊長を指先でつついて遊ぶ。するとマイキーの視線がカノトのうなじに向けられた。
「(すげーキレイなうなじ…)」
「こうして見ると可愛いですね」
「(ちょっとだけ…。)」
"あー"っと、舌を覗かせながらマイキーはうなじに顔を近付け、ぺろっと舐めた。
「ひゃあ…!?」
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