第14章 我儘な総長は照れ屋な彼女が愛おしい
「もぉぉ〜……」
"しょうがないな"と呆れつつ、マイキーを真っ直ぐ見つめる。
「一回だけしか言いませんからね」
「!」
「世界で一番、大好きですよ、マイキーくん」
「なにその顔…可愛すぎて反則。」
目元を緩め、優しげに微笑めば、マイキーは照れた。
「オレも世界で一番大好きだよ、カノ!」
「わっ!」
一瞬で機嫌が直ったマイキーが嬉しそうに抱き着いてきた。驚いたカノトはマイキーを支えきれずバランスを崩し、二人して海に倒れる。バシャンッと跳ね上がった水飛沫が二人の体を濡らした。
「マイキーくん…」
「全身ビショ濡れだな♥」
「誰のせいだと思ってるんですか」
「怒った顔もかわいー♥」
むすっとするカノトを褒めるマイキーに"もう…"と小さく呟いた。
「服も濡れちゃったじゃないですか…」
「乾かさねーとな」
「このままだと風邪ひいちゃいますね」
するとマイキーはチラリとカノトを見下ろした。
「服、乾かせるトコ…行く?」
「はい」
「じゃあ…行こ。」
ぐっと手を引っ張られ、立ち上がるとカノトはマイキーに着いて行った。
✤ ✤ ✤
「近くにこんな宿があるなんて思わなかったです。マイキーくん知ってたんですか?」
「海に来る途中で見つけた」
「そうだったんですね。でも乾かすだけなのに無料(タダ)にしてくれるなんて…本当にいいんでしょうか?」
「基本金取らないみたいだからなー」
「え!?お金取らないんですか!?」
海から近場の宿に着いた二人は和室のような部屋に案内された。まるで温泉旅行を思い出させる雰囲気だ。
受付の際、何故か二人を見てニヤニヤと微笑んでいた店長に『アナタ達!可愛いからタダでいいわよ!』なんて言われ、代金は請求されなかった。
「(なんかココ…ラブホっぽい感じに見えるのは…気のせいだよね?)」
木製のテーブルとクイーンサイズのベッド。サイドボードの横には観葉植物が置かれている。
「何?緊張してんの?」
「し、してませんよ緊張なんて!」
「声震えてるけど?」
「っ………!!」
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